パリ好きな人には是非、読んでいただきたい物語。著者はビストロのオーナーシェフでありパリ大学の大学院へ進学するという興味深い経歴の持ち主です。
物語はパリのカフェから。
“カフェ・ラヴイはサンミッシェル通りとプリンス通りの角にありカルチェラタンと呼ばれる学生街の中心にある”と、ちょっと洒落れた始まり方をする。こうやって物語が始まるとパリ好きな私は、なに?と好奇心をくすぐられてしまいます。
パリが初めてという人も、きっと、おや?と惹きつけられ てしまうのでは…?
遠いようで、どこか親しみを感じさせる文を読み進んでいくと、 なぜかすんなりと情景が浮かびます。
登場人物も「ああ私知ってたっけ…」と間違えてしまいそうな懐かしい感じ。想像がふくらみます。
さらに冒頭には、
“脅しや武力で人を動かすのでなく、心で人を動かすものである”
と勝海舟の言葉を引用。
作者ってどんな人なんだろうって思いませんか?
実は、ビストロのオーナーシェフであり学生時代は法律の学問を修得しパリ大学の大学院へ進学するという興味深い経歴をお持ちです。
この物語には作者の豊富な経験と、もしかしたら淡い思い出も、ぜんぶ一緒になって散りばめられているのでしょうか。
そんなことを想像しながら読むのも楽しいですね……
あたたかな午後のひとときに……ぜひご一読ください。