ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

2015年6月4日

自分史をつくる意味―自分史づくりで得られる7つのメリット―

自分史には、何より自分の半生を記録としてまとめて、後世に伝えるという役割があります。
しかし、自分史をつくる意義はそれだけに留まりません。
自分史を具体的な形にまとめる過程では、自己の客観的な振り返りを繰り返します。
それは、「自分とは何者か」という自己認識をより明確に持つことになります。
そして、これから先の人生の指針を見つけることにもつながります。
これらは自分史づくりを通して得られる大きなメリットであり、言い換えれば「自分史をつくる意味」ともいえます。

  1. 生きてきた証を残せる
    自分史として記録に残すことで、自分が経験や体験から得た知識や知恵を、子供や子孫、家族、友人知人など、色々な人に伝えることができます。
    本にまとめて国会図書館に納本しますと、日本国がある限りその本は保存されます。
    ひょっとしたら、後世の誰かが歴史研究の資料になるかもしれません。
    自分史は、自分の生きた証を未来に残すことができる記録ツールです。

  2. 自分をよく知ることができる
    自分のことは判っているようで意外に知らないものです。
    自分史づくりのプロセスで、自分の経験や体験を振り返ることは、これまでの経験や体験が今の自分に与えている影響を理解することができます。
    例えば、自分にとって不本意だったと思う出来事でも、今あらためて振り返ると、その経験は結果的に後の人生の糧になっていると気付くことがあります。
    失敗や挫折にもプラスの意味があることが分かれば、リスクを必要以上に恐れる必要がなくなり、人生に前向きに挑戦できるようになります。

  3. 生甲斐が見つかる
    過去の振り返りによって、自分の好きだったことや得意だったこと、個性や強みが見えてきます。
    そこから新しい夢や目標が明確になり、生甲斐を見つけられるかもしれません。
    子供の頃は、好奇心のまま自分が純粋に好きなことをやっていたはずです。
    好きだったこと、得意だったこと、夢は何だったかをあらためて思い出してみましょう。
    そこに自分の本当にやりたいこと、生きがいを見つけるヒントがあるはずです。

  4. 自信、自尊心が高まる
    人は普段は忘れていても、本当に多くのことを経験し体験しています。
    学校生活、勉強、友人関係、恋愛、旅行、遊び、就職、社会人生活、結婚など、ちょっと考えるだけでも色々な出来事があるでしょう。
    過去を振り返ることで、多くのことを経験し実践していることが再確認できれば、「色々あったけど、自分は頑張って来たのだ」と自己肯定できます。
    自分に自信を持ち、自尊心を高めることで「自分の人生の主人公は自分である」ということを改めて実感し、主体性を持って生きられるようになります。

  5. 自分のことを良く知ってもらえる
    近年の社会的な傾向として、会社や組織の活動とは別に、異業種交流会など個人で活動する人が増えてきています。
    個人として活躍するには、その人の信用や信頼を高めるために「個人の存在意義の確立(パーソナルブラシディング)」が重要になります。
    自分を良く知ってもらうには、「自分が何者であるか」を説明しなければなりません。
    自分の過去を振り返る過程で自分の強みや弱みも明確になるでしょう。
    客観的に自分を見てみることで、強みを見つけそのPR方法のヒントになります。
    これは、就職活動に向けた自己分析にも応用できます。

  6. コミュニケーションを深められる
    自分史はコミュニケーションの道具にも活用できます。
    お互いを理解することは、コミュニケーションを良くするための基本です。
    自分史を活用することで、相手がその人の「人物像」を理解しやすくなります。
    ある大手企業では、杜内コミュニケーションの活性化に自分史を活用しているそうです。
    自分史を通じたコミュニケーションは、家庭でも有効です。
    両親や祖父母の半生は意外と知らないものですが、例えば両親や祖父母のプレゼントとして自分史をつくってあげるなどしますと、プレゼントとしての自分史とは別に、つくる過程でコミュニケーションを深めることができます。

  7. 脳を活性化できる
    自分史をつくる際に、色々思い出そうと考えまとめること自体が、脳の活性化にもつながります。
    最近の医学では、認知症の予防には脳のある部分を日々活用することが重要だそうです。
    その意味でも、日記を書くとか自分史をまとめる作業は、脳の働きからみても非常に良いことだそうです。
    脳科学者の茂木健一郎氏によると、何かを思い出そうとするときと、何かアイデアを出そうというときの脳の働きは、非常に近いそうです。
    自分史づくりには多くの時間がかかりますので、長期間にわたり脳を活性化することができて、生涯学習の良いテーマにもなります。

単なる過去の振り返りに終わらない自分史づくり。
ぜひこの機会に取り組んでみられてはいかがでしょうか。

関連リンク

・自分史とは?― 世界にただひとつの記録 ―

・自分史の構成―時間の流れを追う?深く掘り下げる?―

・エッセイ型自分史のススメ 

 

自分史とは?― 世界にただひとつの記録 ―

多々ある自費出版のなかで、最も代表的なのは自分史です。
読んで字のごとく、自分自身のこれまでの半生を振り返り、一冊の本にまとめたものです。

少しだけ「自分史」の歴史を紐解いてみます。

すでに戦前から、「自伝・自叙伝」という言葉はありましたが、当時は偉人や有名人の著作がほとんどで、一般的な人々が自分の半生を記したような本はごくわずかでした。
自伝、伝記、自叙伝などに「自分史」というジャンルが仲間入りしたのは、1975(昭和50)年のことです。
歴史家である色川大吉さんによる『ある昭和史―自分史の試み』という本のなかで、初めて「自分史」という言葉が使われたといわれています。
「自分史」という言葉ができたことにより、自己表現として本を書くことが一般にも普及し、いわゆる自費出版ブームのきっかけともなりました。

その一方で、「自分史は有名人や名士が記すもの」というイメージもまだまだ強く「自分にはわざわざ自分史としてまとめるようなことはない」とか、「文章を書くのは苦手だ」などの理由で、執筆に踏み出せない方も多いのかもしれません。

自分史は決して難しいものでも、また偉人達だけのものでもありません。
一人ひとりの人生は違ったものですし、その人生は他に変えることのできない、世界にただひとつだけの記録であるといえます。
自分史を通じて自己の半生を振り返り、自分自身の思いもかけない側面に光を当てることで、今まで気づかなかった新しい自分に気づかされることがあります。
そこから、これからの人生に向けた新たな指針を手に入れることができるでしょう。
そういう意味では、どなたでも、少なくとも人生に一回は「自分史」という本をつくることが出来るともいえます。

一般的には、現役を退かれたご年配の方がお作りになるイメージの強い自分史ですが、最近では、経営者や企業のリーダーが、人生観や仕事論を後進に伝えるために執筆されるケースが増えています。
また、就職活動中の方が就職活動のための自己分析ツールとして自分史づくりに取り組まれる場合もあります。
自分を振り返ることに、年齢は関係ないのです。

北斗書房でお作りした自分史にも、いろいろなバラエティに富んだ作品がありました。
このブログでも、そんな実例をご紹介しながら、色々な自分史をご案内しようと思います。

懐かしい思い出の場所に訪れたり、懐かしい知人に再会したり。
自分史をつくる過程では、そんな思いもかけない楽しみを得ることができます。

過去を振り返り、現在を見つめ、そして未来を照らす、私そのものの歴史。
そんな自分史づくりに、少しでも多くの方に取り組んでいただければ幸いです。

あとがき ~ 終わりよければ全て良し ~

本文が進み、最後に入るのは「あとがき」です。

一般的に、奥付は出版社の責任において表示するものと考えております。
ですので、著者に執筆をお願いする責任範囲としましては「まえがき」から「あとがき」までとなります。

「まえがき」は、本を手に取った人に、この本がどんな本かを紹介するものです。

→ブログ「まえがきの役割 ~本の構成を考える~」はこちら

一方「あとがき」は、本編を読み終えた方に向けたメッセージになります。
映画に例えるならエンドロールになりますでしょうか。
あとがきが付いている本は、読後感の良い、一冊の本として締まった仕上がりになります。

一般的には、あとがきには主に次のような内容を記します。

  • 本編を書き上げた「感想」
  • 執筆時の苦労や発見、エピソードを綴る「執筆体験談」
  • 再確認した作品に対する「想い」
  • 執筆にあたってご協力いただいた方への「感謝」

自費出版の場合ですと、家族や知人に向けたメッセージを記されることもあります。
また参考文献がある場合は、あとがきの最後に掲載します。

「あとがき」には、必ずこう書かねばならないという決まりはありません。
強いて言えば「これまでの慣習上このように書く場合が多い」という傾向がある程度です。
基本的には、公序良俗に反しない範囲で自由にお書きいただくのが良いと考えています。
もちろん、作品の内容や執筆の経緯によって、その内容も変わるでしょう。

たとえどんな内容であっても、そのあとがきを読んだ人が、そこに何かしらの共感を得ることができたとしたら、充分にあとがきの役割を果たしているといえます。

「さあ、あとがきを書くぞ!」と気負いこむと、かえって書き難くなるものです。
自費出版の場合は、まずは執筆にあたって苦労を感じたこと、発見したこと、感動したことなど、何か心を動かされたことを率直にお書きになるのが良いのではないかと思います。

そのうえで、執筆に当たってご協力いただいた方や、応援してくださった方、何より、自分の著書を手に取ってくださった読者に向けた感謝のメッセージがあれば、なおよろしいかと思います。

関連リンク

・まえがきの役割 ~本の構成を考える~

・段落の役割

・文章の構成と起承転結

・文章を「3」でまとめる―3部構成―

 

まえがきの役割 ~本の構成を考える~

自費出版に限らず、書店に並ぶ本の多くには、「まえがき」や「あとがき」が入っています。
弊社にお越しのお客様からは「まえがきは何を書いたらいいのか」「まえがきは書いたのであとがきは必要無いか」といったご質問をよくお受けします。
今回は、「まえがき」の役割についてご説明しようと思います。

「まえがき」とは、その本の大まかな内容を紹介するものです。
典型的な例として、ビジネス書があります。
何をテーマとした本か、誰に向けて書いたものか、この本を通じて何を訴えたいのか。
多くのビジネス書の前書きには、これらのことが網羅されています。

「ビジネス書を選ぶときには、まえがきを読むと良い」というお話をよく聞きます。
まえがきには、その本の肝になる部分が要約して記されています。
ですから、まえがきを読むと本の良し悪しが判るという理屈です。
本の構造から考えても、確かにこれは理に叶っているといえます。

一方、著者以外の方が書くまえがきもあります。
推薦文や、友人からの寄せ書きがこれにあたります。

また、遺作集など故人を偲んでつくる本の場合は、まえがきに変わるものとして追悼文が入ります。
追悼文の執筆は、著者のご遺族や故人が生前親しかった方に執筆をお願いするのが一般的です。

自費出版作品の場合は、ビジネス書ほどシビアではありませんが、自身の作品を紹介するつもりでお書きになると良いのではないかと思います。

なぜこの本を書こうと思ったのか、何を伝えたいのか、どんな方に読んでもらいたいか、等を考えながら書くと良いでしょう。
また、まえがきをよく推敲することは、自分の作品の見直しにもつながります。

せっかくの作品ですから、まえがきもしっかり書き上げて、より完成度の高い本にされることをお勧めします。

関連リンク

・あとがき ~ 終わりよければ全て良し ~

・段落の役割

・「見出し」の役割