ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

2016年9月3日

エコノミック・アテンション その4 ―文章を分かりやすくするチェックポイント(3)―

※「エコノミック・アテンション」に関するバックナンバー

エコノミック・アテンション ―「読みやすさ」を考える―

エコノミック・アテンション その2―文章を分かりやすくするチェックポイント(1)―

エコノミック・アテンション その3 ―文章を分かりやすくするチェックポイント(2)―

文章を分かりやすくするチェックポイント、4回目の連載になります。

最初に思いつくまま書いた文章には、前後関係の矛盾や表現の不統一、書いた本人の「書き癖」などが含まれています。

ある説によると、頭の中で考える速度と手で文章を書く速度には大きな差があるため、意図せず書き間違い(ミスタッチ)や書き癖が起きてしまうそうです。
これはある意味仕方のないことなのかもしれません。

だからこそ、一旦書き上げた後で読み返すことが重要になってくるのです。

9.「~こと」を多用しない
「計算する」「処理する」などの名詞に「する」をつけて動詞となる単語があります。
これらの単語は「計算すること」「処理すること」と、後に「~すること」を付け名詞として用いることもできます。
文章表現上で必要な場合は良いのですが、あまりに多用すると冗長な文章になるます
やや極端な例ですが、学術論文や報告書などでこのような表現をご覧になったことはないでしょうか。 

[例]

  1. この新しい方式では両者の情報を同時に計算することができるため、高速に処理することが可能である。
  2. この新しい方式では両者の情報を同時に計算するため、高速に処理できる

動詞の表現を整理したことで、Bの方がすっきりと読めるはずです。
書いた文章を読み返すとき、「・・こと」と「・・である」を数えてみましょう。それらを多用した文章は、ムダが多く、読みにくいはずです。
表現の仕方を変えてすっきり読みやすい文章を目指しましょう。

10.指示語に注意
「こそあどことば」と呼ばれる言葉があります。
「あれ」「これ」「それ」など、文法上は指示語に分類されるものです。
指示語は、うまく使えば文章をよりシンプルに分かりやすくまとめる効果がありますが、あまりに多用しすぎるのは考え物です。
指示語が多すぎると、「あれ」や「それ」が指し示すものが何なのか、その都度前の文を読み返さねばならず、読み手の大きなストレスになります。
むやみに使わないほうがよいでしょう。読み手を混乱させる原因になります。
読み返してみて、指示語が多すぎると感じたら、具体的な表現に戻してみましょう。

11.「である」と「です・ます」の混在に注意
現代文の文体には「である調(常態)」「です・ます調(敬体)」の2種類があります。
「である調」は、表現がシンプルになり主張を明確に表すことができるので、主に論文やルポタージュなどによく用いられます。
「です・ます調」は読み手にソフトで丁寧な印象を与えることから、エッセイや実用書などで用いられることが多いようです。
文体は、ひとつの文章で文体を統一することをお勧めします。

どれだけ意識して書いていても、日常の書き癖がつい出てしまうものです。
チェックするときは、文末表現に集中して読み返すと見つけやすいでしょう。