以前のブログ(エッセイの起源を調べてみる―随筆との違い)でお伝えしたように、日本と欧米を中心とした海外ではエッセイに対する定義が異なります。論文的な意味合いの強い海外のエッセイとは異なり、日本式のエッセイには文章としての決まりはありません。
まずは気の向くまま、思いのままに書いてみることをお勧めします。
とはいえ、出来事だけを書き連ねると、まるでレポートのように書き手の個性が見えなくなってしまいます。
また自分の思いだけを書いても、あまりに唐突すぎて読み手に受け入れにくくなってしまいます。
エッセイを書くにあたり、気を付けておきたいのは「読みやすさ」です。
できるだけ分かりやすい言葉と言い回しで書くことをお勧めします。
そのため、エッセイでは敬体(です、ます調)よりも常体(だ、である調)が良く用いられます。
文章がシンプルになり、テンポよく読み進めやすいからです。
エッセイでよく用いられる構成に「五段落構成(ファイブ・パラグラフ)」でまとめる方法があります。
「序論―本論―結論」という3部構成なのですが、本論を三段落で構成するため、全体として5つの段落で構成されます。
これは序論で述べた趣旨に対して、本論では切り口を変えて理由付けや補足を行うためです。
簡単な例として、筆者自身の体験を簡単なエッセイにまとめました。
これを示しながらご紹介したいと思います。
序論:このエッセイで述べたい趣旨や主
中学生の頃から続く集まりがある。 みんな社会人になって家庭も持ち、会うのは盆と正月の年二回。 これが四〇年近く続いている。 |
本論:序論の根拠や補強する内容を記す(3パート)
①職業も性格も全く違うのに、なぜか会うと心が休まる。そんな関係が、面白くも心地よい。
みんな揃って五十歳を迎えても、会えば四十年前の中学生に戻ったような気持ちになる。 今思えば、出会った頃から「この縁はきっと長く続く」という、半ば確信のようなものがあったのかもしれない。 「大人になっても、このメンバーでアホみたいな話ばっかりしているのかなァ……」 十代の頃にはそんな与太話をしていたが、まさか本当にそうなるとは。 |
②そんななか、十年前に大きな病気を患った。
治療には骨髄移植が必須という、かなり厄介なものである。治療先を検討している最中に、件の友人達から「ドナーになる」という申し入れがあった。 血縁者以外の骨髄は抗体が違いすぎてドナー適用率は大変低い。 にもかかわらず、抗体の検査を受けてみると言ってくれた友人が何人もいた。 なかには、赴任先の海外で受けると言ってくれた者もいた。 さすがにそれは有り難くも丁重に辞退したが。 |
③残念ながら彼らの骨髄は抗体が合わなかった。 最終的に臍帯血移植を行うこととなり、おかげさまで今でもこうして生きている。 しかしどんな結果であれ、あの時の友人たちの気持ちや行動には感謝しても感謝し尽くせない。 |
ともあれ、今年のお盆も、友人の家に参集して、他愛もない話に花が咲いた。 みんな順当に年を重ねたが、誰一人欠けることなくこの場を持つことができた。 あと十年もすれば五十年目を迎える。 夫婦なら金婚式である。 何か盛大にやろうか……などと他愛もない話に花が咲く。 どうか、この幸せな場が末永く続きますように。 |
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