ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

ヨコのものをタテに ―数字の表し方について

前回(「文字組み」の悩ましさ)では、縦書き・横書きどちらでも表示できる日本語の特徴と、その使い分けについてお話しました。

そのなかでも特に悩ましいのが、数字の表記です。 

「横組みは算用数字、縦組みは漢数字」というのが基本原則なのですが、漢数字には2種類の表示方法があります。
ひとつは「十方式」、もうひとつは「一〇方式」です。

日本語本来の書き方は伝統的に「十方式」が用いられてきました。
古文書などで「壱千弐百参拾四」などの表記を目にした方もおられるかと思います。
ただこの書き方ですと、桁の大きい数字は読み辛くなります、そこで算用数字の表記をそのまま漢数字にあてはめた「一〇方式」が考え出されました。

 一般的な本では、基本は「十方式」で、西暦や単位記号が付く数字などは「一〇方式」という使い分けが良く用いられます。
ただし、統計資料に代表される、数字が主役の本の場合は「一〇方式」で統一される場合もあります。

この使い分けですが、実はJIS規格のような明確な決まりはありません。
全国紙の新聞各紙も、個々の判断で独自にガイドラインを定めているのが現状です。
ある作家さんは、ご自身のエッセイの中で「何となくではあるが自分なりのルールを決めて数字の表記をしている」と書かれていました。
それ位、数字の表記方法は悩ましいといえるのでしょう。

自費出版制作に携わる者として、また最初の読者として原稿に向き合い、最初に考えることは「どんな本に仕上げるか」です。
そのため、原稿をしっかり読み込むことを心掛けています。
作品の内容や性格付けが明確にイメージできると、おのずから数字表記の方針も明らかになります。

作者様と共に、この悩ましくも楽しい時間を共有したいと考えております。

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