ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

色々な自分史

自分史いろいろ ― その3 詩歌(短歌、俳句、詩)で綴る

自分史といえば自分の人生の歩みを纏めたもの、人生のある一部に焦点をあてて詳述したものですが、それは必ずしも文章で表現されるとは限りません。
例えば自分の趣味を生かした詩歌(短歌、俳句、詩)で綴る自分史もあります。

31文字の短歌、17文字の俳句、または詩歌やポエム。
限られた字数で、そこに無限の世界を表現します。
いずれもその時心を動かされたことを短い言葉にまとめます。

作られた詩歌を、時代を追って眺めてみると、その時々何に心が動かされたのかが見て取れます。
また、吟行に出向いた地の思い出も蘇ることでしょう。
昔に詠んだ歌を読み返すと、当時の様子や気持ちが鮮やかに蘇ります。
写真やビデオとは、また違った面白さがあります。

実際に私共でもお作りした自分史は、娘さんを授かるまでの苦労や、子育ての喜びを詩で書き記し、ご家族に寄せる想いを66篇の詩集にまとめられました。
著者の女性曰く「主人との馴れ初めから結婚、娘を授かるまでの自身の半生を自分史に記録する気持ちで詩にまとめました。家族に向けて作りましたが、特に娘に想いがうまく伝われば良いなと思います」
詩歌で自分の歴史を語り、次代にメッセージを伝える、これもまた立派な自分史です。

詩歌で自分史を表現するとなると、やはり時間の経過にそって作品を並べるのが良いでしょう。
章立ては「年号/西暦毎」が主流ですが、これまでの半生を大きく数個に分けて「春夏秋冬」や「○○時代」などに分けることもできます。
章のタイトルも詩歌集らしく、花の名前や色の和名などにするのもひとつのアイデアです。

詩歌で綴る自分史は、詩歌を嗜まれた方だけにできる、特技を活かした自分史といえるでしょう。

自分史いろいろ ― その2 小説風自分史

特徴

文学作品のジャンルに「私小説」という分野があります。
著者が直接に経験したことがらを素材にして書かれた小説を指し、日本の近代小説に見られます。
「私」小説とは呼びますが、文中の主人公は必ずしも「私」の一人称ではなく、三人称で表わされる場合もあります。
私小説の主人公は、著者を投影したものではありますが、本人自身ではありません。
多くの場合は、著者の経験や考えが反映された架空の人物として描かれます。
日本では私小説の歴史は古く、森鴎外・夏目漱石・島崎藤村・志賀直哉・谷崎潤一郎・川端康成などが私小説を手掛けています。
最近の作品では、映画化されたリリー・フランキーさんの『東京タワー』も、本人の体験に基づいた私小説といえます。
自分史づくりの手法にも「小説風に描く」という方法があります。
過去の出来事を「記録」として書くのではなく「物語」として描く方法です。
物語である以上、必要に応じて時系列順の入れ替えや登場人物の変更など、多少の脚色が入ることもありますが、「直接経験したことを素材にする」という原則からは外れないようにします。
事実に多少の脚色を交えて物語にする―これが小説風自分史です。

小説風自分史の実例
最近のことですが、北斗書房では私小説による追悼作品集が完成しました。

作品紹介はこちらです。

http://www.hokutoshobo.jp/book/book-author/%e5%8c%97%e7%81%98%e3%80%80%e8%91%b5/1027/

著者は既にお亡くなりなのですが、生前お書きになった小説を本にまとめるというものです。
詳しい内容は省きますが、著者の故郷である瀬戸内海に面した港町の出来事や情景を、そこに住む少年の眼で観たものとして描かれています。
主人公の少年は、著者の少年時代をモデルにした架空のキャラクターであり、立派な私小説といえます。

執筆のポイント
事実に基づき自分の歴史を語るのが自分史づくりの原理原則ですが、自分以外の人間を主人公にして私小説風に書くのでしたら、そこに多少の演出を交えることができます。
執筆する際のポイントは、出来事の羅列ではなく、そのときの情景や想いを表現することを心掛けて執筆されると良いでしょう
私小説に取り上げる題材を決めてプロット(あらすじ)を考え、パソコンに向かう前に、もう一度当時に想いを馳せてみます。
その時何を感じたのか、人々はどう思っていたのか。どのような風景だったのか。
当時体験した出来事とそこで生まれた喜怒哀楽の感情、それを小説の一場面として書き記します。

少しテクニックや内容の工夫が必要ですが、上手く仕上げると面白い作品になります。
自分の事として書くのが照れくさいと感じる方、腕に自信のある方にお勧めします。

自分史いろいろ ― その1 エッセイ集自分史 ―

エッセイとは「日常の出来事や世間の事象に自分の意見や感想を交え、自由な形式で書いたもの」と定義できます。
このエッセイを、1冊の本にまとめたものを「エッセイ集」と呼びます。
芸能人の著作などでよく見られます。

ここでエッセイの定義を少し言い換えてみます。

「過去の体験やエピソードと、その時の思いを自由な形式で書く」

まさに自分史そのものといえるのではないでしょうか。

エッセイ風自分史は、数ある自分史の表現方法のなかでも比較的取り組みやすい方法です。
弊社でもこの形式の自分史を数多くつくらせていただいております。

 

 特徴

一般的な自分史の書き方は、年表を書き、次に構成を練り、資料を集めてからようやく執筆に入ります。
これが自分史執筆の正攻法なのですが、全体の構成を考えながら長文をかくのは難しいものです。
「長文はちょっと荷が重いけど、短い文章なら・・・」という方には、このエッセイ風自分史をお勧めします。
エッセイ風自分史でまとめる場合は「まず原稿を書いてみる」ことをお勧めしています。
本全体の構成や、エピソードの前後関係などもあまり考えずに、書きたいことや思い出したことからどんどん書き進めます。
文章量は、1本のエッセイで1,500~2,000字程度(A5判の本で3~4ページ位)もあれば充分です。
何本かエッセイを書き上げたら、並び順の変更やグループ分けにより構成を考え本にまとめます。
これは「考えてから書く」のではなく「書いてから考える」方法です。

 

キーワード連想法

題材に困ったときは「キーワード連想法」を試してみと良いでしょう。
これは、企画の会議などで行われる「ブレーンストーミング」と「KJ法」を応用したものです。

1.キーワードの書き出し
 思い出に関連するキーワード(例:「学園祭」「初恋」「転勤」「初仕事」「幼馴染」など)を、思いつく限りできるだけたくさんカードに書き出します。

2.組み合わせ連想
 書いたカードを並べ変えて組み合わせながら色々と連想することで、エッセイの題材にできる具体的な内容を思い出していきます。

ひとつの出来事を思い出すと、そこから関連していろいろと思い出されてくるものです。
忘れていたことを、あれこれ連想するなかで思い出す作業は、意外と楽しいものです。
はじめから文章にしようと思わずに、ゲーム感覚で取り組まれると良いでしょう。

 

いかにまとめるか

エッセイ風自分史の構成は、インターネットの世界に例えると「ブログ」に近いといえます。
ブログは、日々書き記した内容に「タグ」を付けることで、いくつかのグループにまとめることができます。
エッセイ風自分史の場合も、ある程度文章が書き溜められたらグループ分けを行います。
時代ごとにまとめるのが一般的ですが、時系列以外のまとめ方(仕事のこと/家庭のこと/趣味のこと等)にしても良いでしょう。
まとめ方次第で、他に例のない面白い作品に仕上げることもできます。

 

より良く仕上げるためのポイント

この方法の注意点は、原稿を書き上げた後の見直しをしっかりすることです。
「とりあえず書いてみる」という書き方で進めると、年月日や場所などを曖昧なままにしてしまうことがよく起きます。
原稿を書き上げた後で、日記やアルバム等の資料と突き合わせて、内容の正確さを高めることをお勧めします。
手元に資料もなく、はっきりした時期が思い出せない場合は、当時の世相や出来事と対比させると、時期の特定がしやすくなります。
世相や出来事の年表は市販本やインターネットから調べることができます。