書籍一覧|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

フランソア喫茶室 京都に残る豪華客船公室の面影

本著は創業者・立野の生い立ちや弾圧事件などの社会的背景を交えて開店の経緯から第二次世界大戦終結までのおよそ20年間の出来事を中心に記されています。

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著者

佐藤裕一

価格
1800円(税込)
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在庫切れ重版未定
ISBNコード
ISBN978-4-89467-195-9
サイズ
A5判
頁数
165頁
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京都の繁華街・四条河原町から一筋東へ行き、高瀬川に沿って木屋町通りを少しだけ下ると、「フランソア喫茶室」というお店があります。イタリアン・バロック様式の店内は、大きな円天井が戴かれており、小振りな外観からはとても想像できない豊かな空間となっています。

「フランソア喫茶室」は1934年、美学校出身の労働運動家である立野正一氏によって創業されました。
開店以来70余年、ここは京都の近・現代史の重要な側面が刻まれた遺構であると同時に、今なお若い芸術家や思想家を惹き付けてやまない重要な文化拠点でもあります。2002年にはその建築的価値が認められ、国登録有形文化財に指定されました。

本著は創業者・立野の生い立ちや弾圧事件などの社会的背景を交えて開店の経緯から第二次世界大戦終結までのおよそ20年間の出来事を中心に記されています。

著者は京都大学工学研究科の助教 佐藤裕一氏。京都大学の一般向け講座「シニアキャンパス」の講師を務めた際にこのテーマを取り上げられ、参加者用資料としてまとめたものを自費出版されました。

新聞紹介

2010年9月1日(水)京都新聞朝刊1面、21面で紹介されました。

  • 第一章 創業前夜
  • 第二章 フランソア喫茶室創業と「土曜日」
  • 第三章 喫茶室改装 — イタリアンバロックのインテリア —
  • 第四章 豪華客船公室の面影

京都の繁華街・四条河原町から一筋東へ行き、高瀬川に沿って木屋町通りを少しだけ下ると、「フランソア喫茶室」がある。幅が半間にも満たない小さな 扉を押して中に入り、薄暗い玄関を通り過ぎると、柔らかな光に包まれた客室にたどり着く。そのイタリアン・バロック様式の客室の上には、大きな円天井が戴 かれている。店の小振りな外観からはとても想像できない豊かな空間である。

フランソア喫茶室は1934年、下京区木屋町四条下ルに開店して以来、70余年にわたり京都の人々に親しまれてきた。

創業者・立野正一は、美学校出身の労働運動家であり、芸術と思想の拠点を築くべくフランソアを設立した。瀧川事件(1933年)などを背景とした過酷な 言論統制下にありながら、フランソア店内には中井正一・斉藤雷太郎らの反ファシズム誌「土曜日」が置かれ、学生、教授、芸術家、文筆家などが自由に語り合 う場となった。(中略)

1941年、フランソアの建物は、京都大学の留学生アレッサンドロ・ベンチヴェンニと、画家・高木四郎の協力により、豪華客船公室を模したイタリア古典 主義様式に改装された。その後間もなく太平洋戦争が始まり、戦局の悪化によって、フランソアは一時閉店を余儀なくされる。また、ベンチヴェンニも敵性外国 人として敗戦まで抑留された。

戦後営業を再開したフランソアは、再び自由と芸術の薫りを取り戻した。店内のインテリアを際立たせる円天井の下で、桑原武夫、今西錦司、貝塚茂樹、多田 道太郎、宇野重吉、矢内原伊作、鶴見俊輔など多くの人々によって議論や思索、創作が繰り広げられて今日に至っている。2002年にはフランソアの建築的価 値が認められ、国登録有形文化財に指定された。(中略)

京都の一喫茶室にかかわった労働運動家、学者、芸術家たち。そして一隻のイタリア客船に乗り組んだ旅人と船員たち。彼らの人生を辿りながら、京都という街の一断面を見つめたい。

(まえがきより)

現在この本は「品切れ・重版未定」となっております。

ご希望の方には大変申し訳ありませんが、あしからずご了承願います。