ひと口に自費出版といっても、エッセイ、画集、自分史、句歌集など、その種類は多岐にわたり、原稿のつくり方や気を付けるポイントは異なります。
ここでは、自費出版制作に関する豆知識をご紹介します。
北斗書房では、原稿づくりに関するアドバイスもさせていただいております。どうぞお気軽にご相談ください。
※クリックしていただくとそれぞれの豆知識に移動します
以前は著者により自主制作された本は私家版と呼ばれていましたが、現在では自費出版という呼び方が主流になっており、その内容は自分史・句歌集・社史・記念誌・画集など、あらゆるジャンルにわたります。
※クリックしていただくとそれぞれのジャンルに移動します
エッセイとは「日常の出来事や世間の事象に自分の意見や感想を交え、自由な形式で書いたもの」と定義できます。
このエッセイを、1冊の本にまとめたものを「エッセイ集」と呼びます。
芸能人の自伝などでもよく見られるように、自分史として作成することもできます。
「長文はちょっと荷が重いけど、短い文章なら・・・」という方にエッセイはぴったりです。
エッセイの場合は「まず原稿を書いてみる」ことをお勧めしています。
本全体の構成や前後関係などもあまり考えずに、書きたいことから書き進めます。
文章量は、1本のエッセイで1,500~2,000字程度(A5判の本で3~4ページ位)もあれば充分です。
何本か書いたら、並び順やグループ分けによって構成を考え1冊の本にまとめます。
これは「考えてから書く」のではなく「書いてから考える」方法になります。
エッセイの構成は、インターネットの世界に例えると「ブログ」に近いといえます。
ブログは、日々書き記した内容に「タグ」を付けることで、いくつかのグループにまとめることができます。
エッセイの場合も同様で、ある程度文章が書き溜められたらグループ分けを行います。
時系列でまとめるのが一般的ですが、テーマ別でまとめても良いでしょう。
まとめ方次第で、他に例のない面白い作品に仕上げることもできます。
「キーワード連想法」をお勧めします。
これは、企画の会議などで行われる「ブレーンストーミング」と「KJ法」を応用したものです。
エッセイ風自分史の場合ですと、進め方は次のようになります。
この方法の注意点は、原稿を書き上げた後の見直しをしっかりすることです。
「とりあえず書いてみる」という書き方で進めると、年月日や場所などを曖昧なままにしてしまうことがよく起きます。
原稿を書き上げた後で、日記やアルバム等の資料と突き合わせて、内容の正確さを高めることをお勧めします。
手元に資料もなく、はっきりした時期が思い出せない場合は、当時の世相や出来事と対比させると、時期の特定がしやすくなります。
世相や出来事の年表は市販本やインターネットから調べることができます。
水彩画や油絵、イラストを趣味とされる方、あるいは写真を趣味とされる方は、自分の作品を画集や写真集としてまとめるのもひとつの方法です。
画や写真には、文章とはまた違った伝達力があります。
たとえ文章で伝えきれないことでも、1枚の絵や写真が雄弁に物語ることがあります。
例えば滞在記や体験記などの場合も、写真や絵を主体にすることで文章とはまた違った作品に仕上がります。
弊社では、印刷部数や求められる品質に応じて、少部数(10部~)にも対応したオンデマンドプリント、あるいは多部数に適し色の再現性に優れたオフセット印刷機を使い分けております。
写真集の原稿づくりは、前もって本の大きさや全体のページ数を含めた仕様をお決めになられることをお勧めします。
先に全体の完成イメージを定めることで、この後の原稿作成がやりやすくなります。
・ページ数
撮り溜められた写真の点数は膨大な数と思われますので、仕様を決めずに写真の選別を進めると「あれも載せたい、これも載せたい」となり、ページ数が増えてしまいがちです。
最初に「何ページの写真数にする、掲載写真は何点にする」と、全体の大枠を決めておくすることで、数多ある作品のなかから掲載写真を絞り込みやすくなります。
・大きさ
画集や写真集をお考えの場合は、本の大きさにひと工夫が必要です。
一般的な画集や写真集は、B5判やA4判で作られることが多いのですが、気軽に手に取ることができる本を目指すのでしたら、A5判やB6判など、文字主体の冊子でよく用いられる大きさで仕上げるのもひとつの方法です。
北斗書房では、「正方形の本」をお勧めしています。
縦長・横長どちらの絵や写真であっても、収まり良く仕上げることができるからです。
大きさと持ちやすさのバランスを考慮すると、18センチ位がおすすめです。
・用紙
写真集や画集の場合は、コート紙・マットコート紙が適しています。
どちらの紙も、表面に白色顔料を塗って滑らかに加工した紙です。
表面に光沢があるものをコート紙、表面にツヤ消し加工を施したものをマットコート紙と呼びます。白色顔料を塗るのは、インクの発色を良くするためで、写真集や画集の本文用紙によく用いられます。
制作の流れでは、一般的な文字校正とは別に「色校正」を行います。
色校正は、実際に試し刷りを行う本紙校正と、専用のプリンターで行う簡易色校正(プルーフ)の、2通りがあります。
再現の正確さやコストで特徴がありますので、どちらの方法で色校正を行うのかは、事前に打ち合わせを行います。
[関連リンク]
自分史は、「半生記」と「体験記」に分けられます。
「半生記」は、ご誕生から現在までを、時間の流れに沿った構成になります。一方、「体験記」は、ご自身の体験や大きな出来事を主題として構成されます。
いずれの場合にしましても、まず書きたい項目を箇条書きにしてみて、その中で特に伝えたい内容をお決めになられますと、全体の流れを決めやすくなります。
自分史には様々な表現方法があり、弊社ブログのなかで詳しくご説明しております。
ぜひ、ご参照ください。
(本サイト内のブログに移動します)
詩集や歌集には、一般的によく使われるレイアウトがあります。
本を開いた「見開き」の状態でレイアウトすることが一般的ですが、写真やイラストと連動したデザインをお考えのお客様もおられます。
※画像クリックで拡大表示されます。
個人でおつくりになる場合、1ページに3首(句)を入れる「3首(句)取り」または5首(句)入れる「5首(句)取り」が一般的です。同人結社で作られる同人誌の場合は、それぞれの同人誌で定められたレイアウトをお持ちです。
詩集/歌集/句集いずれの場合でも、ご入稿は、原稿用紙にお書きになられた手書きのもの、ワードや一太郎などのワープロソフトでお作りになられたデータをご提供くださるもの、どちらの方法でも結構です。弊社で再レイアウトさせて頂き、バランスの良い美しい仕上がりでおつくりします。
※画像クリックで拡大表示されます。
紙の選択は、本の仕上りに大きく影響します。
小説やエッセイのような文字が主体の本と、画集や写真集に代表される図版が主体の本では、適切な紙は異なります。
イメージ通りの本に仕上げるためにも、紙選びは大変重要です。
コピー用紙やノートなどにもよく用いられます。
光沢が無いので文字が読みやすいことから、学術機関の論文集や、行政機関の報告書などによく用いられます。
表面は少しざらついた質感で、筆記用具での書き込みにも適しています。
反面、カラー印刷に用いると、色がくすんで表現されますので、絵や写真を綺麗に見せようとする場合には不適切な紙となります。
どちらも、上質紙の表面に白色顔料を塗って滑らかに加工した紙です。
白色顔料を塗るのは、インクの発色が良くするためで、写真集や画集などの美術書の本文用紙の他、カラー印刷のチラシに適しています。
表面に光沢があるものをコート紙、顔料を塗布した後にツヤ消し加工を施したものをマットコート紙と呼びますが、製造工程はほぼ同じなので、特性もよく似ています。
上質紙と比べて紙のコストは上がりますが、その発色の良さからカラー印刷に非常に適しています。
一般的にツヤが有って見た目が華やかなコート紙はチラシやパンフレットに、余白がツヤ消しで落ち着いた感じのマットコート紙は写真集や画集に用いられることが多いようです。
書籍用紙は冊子の本文専用につくられた紙です。紙質は上質紙に似ていますが、紙の色は淡いクリーム色で、これは紙の製造工程で染色していることによります。
小説や自分史のような本の場合は、長時間文章を読むことになります。このため、紙の白色度を下げた淡いクリーム色の紙を用いることで、目を疲れにくくします。
また、腰が柔らかくページがめくりやすいことも特徴です。
上質紙と比較してややコストは上がりますが、読み物の本文紙としては最適で、北斗書房ではほとんどの場合この用紙をお勧めしています。
この他にも、特殊な紙はたくさんあります。
店頭にサンプルを取り揃えていますので、本の装丁でお困りの方はぜひご相談ください。
紙の厚さは重さで表示されます。主に「連量」という単位が用いられます。
連量は、原紙(A全判や四六判など)1,000枚枚あたりの重さであらわします。
たとえば、一般的に流通しているコピー用紙は、連量に換算すると「A判35㎏」「四六判55㎏」となります。
連量表記の場合は、同じ厚さでも紙の大きさによって重さが異なることから「○判○㎏」のように、原紙の大きさとセットで表示されます。
本の表紙に使う、あるいは本文用紙として用いる、同じ紙でもその使い道によって、適切な紙の厚さは異なります。
本の大きさは、制作する本の内容によってある程度決まります。
画集や写真集のように、図版を大きく見せたい場合は、B4判やA4判が良いでしょう。
自分史や小説、句歌集のような、手に取ってじっくり読ませたい本は、やや小ぶりのA5判やB6判をお勧めします。
代表的な本の大きさと、適している本の種類は次のとおりです。
学会誌、行政の報告書、社内報、画集、写真集、カタログ、楽譜集など
事典、図版の大きい技術書、教科書など
専門書、教科書、自分史、句集・歌集など
句集・歌集、小説など
この他にも、菊判(218×152ミリ)や四六判(188×128ミリ)があります。
また、正方形のような変型サイズも可能です。
製本とは、印刷物を糊や糸で綴じて本の形にすることです。
そのなかでも、綴じ方は本の仕上がりを大きくします。
自費出版でよく用いられる製本方法には、大きくふたつあります。
ハードカバーとも呼ばれ、紙に印刷した表紙をボール紙に貼り製本する方法です。
上製本の場合、本文は背を糸で綴じる「糸綴じ」という方法で綴じます。頑丈で長持ちし、本を大きく開くことができます。
工程が複雑なため、他の製本方法と比べて時間が掛かしコストは高くなりますが、それに見合った高級感と耐久性があります。
ボール紙に貼る表紙は、紙の他にも布を使用する事もできます。
その場合は、「箔押し」という型押しでタイトルなどを布に印字します。
※画像クリックで拡大表示されます。
ソフトカバーとも呼ばれ、本文紙より厚めの紙で本文をくるむ方法です。
上製本のように糸を使わず、本の背を糊で固めて綴じます。
ほとんどの自費出版ではこの製本方法が用いられます。
上製本よりも工程が簡略なため、時間もコストを抑えることができます。
また、本体の表紙の外側に、カバーを付ける場合が多いです。
カバーには、PP加工と呼ばれる透明フィルムを貼り、見た目美しくまた汚れにくくします。
※画像クリックで拡大表示されます。
ISBNコードは正式には「国際標準図書番号」と呼ばれます。
世界中で発行される書籍の、発行国、出版社名、タイトルを記録するための「本の戸籍」のようなものです。
日本では1981年からこの国際団体に加盟し、出版物へのISBNの記載を推進しています。
ISBNコードを取得した書籍は東京の国会図書館にも保存され、日本国内で発行された正式な書籍として登録されます。
ISBNコードは、本来はすべての出版物に対して付与することが望ましい、世界共通の国際標準図書番号です。書籍を書店に流通するためだけに必要なものではありません。書店流通をしない自費出版や、ごく親しい方に配る30冊だけの私家版であってもISBNを取得できます。
弊社は、自費出版の会社としてISBN出版者記号を取得しており、自社で制作した自費出版作品には、無償でこの「ISBNコード」をお付けしております。ISBNコードを付けることによって、お客様の自費出版作品は正式に日本で発行された書籍として登録されます。
ISBNコードは、書籍の奥付と表紙カバーなどに記載させていただき、弊社より国立国会図書館に納本をいたします。
近年、コンプライアンス(法令遵守)に対する意識が高まっています。
著作権侵害に関するニュースを目にする機会も増えています。
これは、著作物に関する権利や法律の意識が高くなっているといえます。
もちろん、自費出版も例外ではありません。
著作権はコピーライトとも呼ばれる「知的財産権」のひとつで、著作物を創作した際に著者に発生する権利です。
著作権法では、著作物の複製、貸与、放送などの権利は、著者が独占的に持つとしています。
言い換えると「著作物は著者のもの」ということになります。
著者の許可なく勝手に複製したり、発表したりすることは著作権の侵害になります。
自費出版も例外ではなく、作品の著作権は著者にありますが、その一方で他人の著作物を無断で転載することは他の著者の著作権を侵害することになります。
一定の条件を満たした場合は、自分の著作に他人の著作の一部を引用することは許されます。
著作権法第32条では、引用の定義を次のように定められています。
1.引用することが、オリジナルの文章(本文)を表現するために必要であること
2.主量的にも質的にも自分のオリジナルな文章が主であり、引用部分が従であること
3.引用部分とその他の部分が明確に区別し引用文は改変しないこと
4.引用された著作物の出典が明示されていること
この他、歌詞や写真など、著作物の種類によって気を付けるべき点は異なります。
詳しくは、北斗書房スタッフにおたずね下さい。