本書は先に出版された「伴林光平の研究」に続くもので、国学者 伴林光平の兄の末裔にあたる筆者が、光平の書についてまとめたものです。
本書は先に出版された「伴林光平の研究」に続くもので、国学者 伴林光平の兄の末裔にあたる筆者が、光平の書についてまとめたものです。
「古く「書は心を画なり」や「心正しければ則ち筆正し」の教えがあるが光平は禿筆であっても筆墨硯紙の善悪も問わず淡々として、己が欲するとこ ろに任すの姿勢で、心は上代様を忘れず唐様もとり、どこにもない光平風を創りあげ能書家としての力量を披瀝している」と述べられています。
冒頭部分40ページに渡ってカラー写真で実際の書物が紹介されています。
本書は先に上梓した「伴林光平の研究」に続くもので国学者光平の書について述べた。
初めは周永、若きより光平と改め書風形成の時期を 経て國学者らしく数々の書稿、書作をものしながら歳月を重ね、晩年は志士として絶筆を残して52歳 で逝った。この間の真剣な筆の跡から35項目採り年代を追ってすべて真筆を前に同じ範疇のものを併列し鑑賞してきた。その筆跡は楷行草仮名の大字から細字 までさまざまな面の書表現ではあるがいずれも毀誉褒貶を気にしているとか構えて書いている風は微塵もなく誠心から表出した個性そのものの書である。(中 略)
とくに、外形でなく天賦の至誠を心としてこそ人を打つ書が成されると説き、温厚で雄偉、流麗で爽やか、魂を太古の風致におくとき云うべくして行い難き深さがあるという点に注目したい。
今の画学生や古筆名跡を習う書学者も形臨から意臨・背臨の段階を履みつつひたすら虚心に努力、稽古を積んでこそ目標に達すると思う。
はじめにより