ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

自分史の構成―時間の流れを追う?深く掘り下げる?―

「自分史」とひと口に言っても、その内容や種類は様々です。

自分史を定義すると「過去から現在に生きる自分自身の歴史を何らかの形で記録にとどめるもの」ということができます。その内容や表現方法は非常に多岐にわたり「こうでなければならない」という決まった形はありません。
少し極端ですが、自分史作品の数だけ種類があるといえるのかもしれません。

とはいえ、そんななかでも構成や表現方法によりいくつかのタイプに分類できます。
構成は大きくふたつに分けられます。
「ここまでの半生を時間軸に沿ってまとめる」または「ひとつの時代や大きなエピソードを掘り下げる」です。
表現方法のことは別にして、自分史の構成を決める際の大事なポイントです。


 1.時間軸型 ― 時間の流れに沿ってまとめる
時間の流れに沿って時系列でまとめる方法は、自分史のなかでも最も一般的なまとめ方です。歴史書などはこの形式で記されることが多く「編年体」とも呼ばれます。
時間の経過に沿って記すことになりますので、全体の流れや構成がまとめやすいというメリットがあります。
この形で自分史を執筆される際には、まず年表をお作りになることをお勧めします。
一見回りくどいようですが、実際に年表に書いてみることで、全体の構成が明確になります。
また逆に、記憶の曖昧なところが明確になって、今後調べるべきこともはっきりします。
実際に年表を書く際は、埋められるところから書かれると良いでしょう。
書き進めるうちに、何かのはずみで忘れていたことも思い出せるかもしれません。
あまり気追い込まずに、気楽に書き進めることをお勧めします。
年表の作り方は、また機会をあらためてご説明します。


2.掘り下げ型 ― ひとつの時代や大きなエピソードを掘り下げる
これまでに起きた大きな出来事や時期を中心に、その経緯や背景を記していく方法です。
ある時代の回想録や、体験記、滞在記などがこれにあたります。
大きなテーマが一つあって、それを中心に書き記したい場合に適しています。
幼少期の思い出、学生時代、職業人として、あるいは家庭人として・・・・・・
そこには、忘れられない思い出や、人生の一大転機ともいえる出来事があったことでしょう。
そんな時代や場所に焦点を絞って書き記す方法です。
時間軸に沿ってまとめるよりもやや難易度は高いのですが、この書き方でまとめますと、自分史を通じて訴えたい内容を明確にすることができます。
時代背景やその時の心境、現在に与えた影響など、色々な角度から深く掘り下げて書かれますと、より内容が充実した読み応えのある一冊になります。
文芸の世界では「私小説」と呼ばれるものに近いです。


つまり、自分史の構成は「大きく全体をとらえる」か「一部分を深く掘り下げる」のどちらかということになります。

前者は時間の流れに沿って書きますので、半生記や家族史などはこの方法が適しています。
後者の場合は、時間または空間で切り取って深く掘り下げます。時間ですと「○○時代の記録」とか「△△体験記」となりますし、空間ですと「□□滞在記」などが代表的な例になります。

また、1と2の折衷案的なものとして、時間の流れに沿ってまとめつつ、あるエピソードだけ取り出し章を分ける方法もあります。


ご自分の書きたい内容をどのようにまとめるのか、悩ましくも夢が広がる楽しい工程です。
せっかくの自分史ですから、楽しみながら取り組んでいただければと思います。

北斗書房では、企画段階からのご相談もお受けしています、どうぞお気軽にご相談ください。

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