一つ一つの文はしっかりしているのに、全体的にまとまりがつかず、冗漫で退屈な文章になることがあります。
全体の構成が固めずに書き進めると、構成を考えながら執筆を進めることになるので、このような事が起きやすくなります。
言葉の使い方や言い回しも大切ですが、全体の構成もやはり重要なのです。
文章の構成といえばまず思い浮かぶのは「起承転結」ではないでしょうか。
小学校の作文の時間に、起承転結を意識するようにと教わった方も多いでしょう。
起承転結の例としてよく紹介されるのが、頼山陽の俗謡です。
起……京の五条の糸屋の娘
承……姉は十六妹十四
転……諸国大名は弓矢で殺す
結……糸屋の娘は目で殺す
また「春眠暁を覚えず…」で有名な孟浩然の漢詩「春暁」も、起承転結になっています。
起……春眠暁を覚えず
承……処処に啼鳥を聞く
転……夜来風雨の声
結……花落つること知る多少ぞ
ただ、この「起承転結」、綺麗にまとめるのは意外と難しいのです。
起承転結は、四行詩など短文の構成としては申し分ないのですが、エッセイや小説などの物語を記述するには少々不便なところがあります。
記述の流れが固定されているので、長い文章を起承転結にあてはめようとすると、どうしても文章が冗長になってしまいます。
これを避けてすっきりとした文章の構造にするためには「3部構成」にされることをお勧めします。
3部構成には「序破急」「序論-本論-結論」などがありますが、詳しいことは次回のブログでご案内します。
文章を書く際に、どの位「段落」が意識されているでしょうか。
「段落」の分け方ひとつで、著書の意図の伝わり方が大きく変わります。
今回は段落の分け方を確認してみましょう。
段落はテーマごとに分けられたものです。
だから、ひとつの段落にテーマはひとつだけというのが大原則です。
複数のテーマがある場合は、そのテーマごとに段落を分けます。
例えばテーマが3つあれば、段落も3つになります。
もしひとつの段落で複数のテーマが述べられていると、文章にまとまりが無くなり読み手の混乱を招きます。
またひとつの段落の長さも、読みやすさや伝わりやすさを左右します。
全く段落分けされていない文章は大変読みづらいものです。
逆に、あまり細かく段落分けし過ぎるとリズム感を損ないますので、これもまた読みづらいものになります。
目安としては、200文字程度をひとつの段落にまとめると読みやすく、見た目のバランスも良いと言われています。
前回のブログにならい1文を30~40文字とすると、5~6文でひとつの段落になります。
あくまでこれは目安ですので、伝えたい内容によってはもっと長い段落になる場合もありますが、それはそれで問題ありません。
自身が書いた文章の段落分けが適切か、簡単にチェックする方法をご紹介します。
それは「段落ごとに見出しを付けてみる」ことです。
1段落1テーマが守られていれば、スムーズに見出しが決まるでしょう。
なかなか見出しが決まらない、または付けた見出しに違和感がある場合は、複数のテーマが含まれている可能性があります。
簡単に出来るチェック方法ですので、ぜひお試しください。
北斗書房では、原稿の推敲からお受けしております。
ご相談は無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
名文を書こうと意気込むと、つい難しい漢字や修飾語を多用した長い文章になりがちです。
パソコンやワープロの普及に伴って、特に漢字の多用は目にすることが増えました。
たとえ著者の立場としては「入魂の力作」であっても、伝わらなければ意味がありません。
ここで、シンプルで分かりやすい文章について考えてみます。
適切な長さであること
ひとつの文が長いと、その構造が複雑になり読者が理解し難くなります。
また文の構造が複雑になると、文法的な誤りも出やすくなります。
長すぎる文はふたつに分け、ひとつの文を短くしましょう。
とはいえ、極端に短すぎる文章が連続すると、幼稚な印象の文章になります。
30~40字位が読みやすい文の目安といわれますが、あまりこれに囚われず、声に出して読んだときにリズム良く読めるかどうかを判断材料にされると良いでしょう。
余分な主語は省略する
日本語では慣習的に主語が省略されます。
英語の直訳のように主語を全く省略しないと、どこかぎこちなく不自然な文になります。
この文の述語全てに主語を付けた場合を比較してみましょう。
意図的に主語を入れてみましたが、読んだときのリズムの悪さをお感じいただけたと思います。
このように、複数の述語が同じ主語に掛かる場合は、省略した方がリズム良い文になります。
ただし、前文と主語が変わる場合には、きちんと主語を明示しましょう。
このあたりは、自分だけでチェックすると見落としがちです。
読み手を変えてチェックすると、意外なところで不具合が見つかります。
北斗書房では原稿の推敲からお受けしております。
どうぞお気軽にご相談ください。
「ぎなた読み」という言葉遊びがあります。
読点(、)の打つ位置を変えて、違った意味に変えてしまう読み方のことです。
ある人が「弁慶が、長刀を持って」を「弁慶がな、ぎなたを持って」と読み違えたことからこの名前が付いたといわれています。
ぎなた読みには、日本語の面白さと難しさが良く表れています。
今回は、そんな「句読点」、特に「読点」を中心にお話しさせていただきます。
句読点とは「句点(。)」と「読点(、)」の総称です。
句点は文の終わりに打ち、その文の終わりを現す役割があります。
一方、読点はその文を区切って意味を分かりやすくために、文の途中に打ちます。
読点を打つ場所には「絶対」といえる決まった法則はありません。
どちらかというと執筆者の感覚による部分が大きく、プロの文章でも読点の打ち方には大きな違いがあります。
ただ目安としては、次のような場合に読点をつけるとされています。
特に5は、冒頭で紹介したぎなた読みを例に示します。
ひとつの点の位置が変わるだけで、全く違う意味の文になります。
読点をつける目的は、意味の読み違いを防いで、読み手がスムーズに文の意味を理解できるようにすることにあります。
全く読点のない文は読みづらいくらし、逆に多過ぎると文章が細切れになってやはり読みづらくなります。
どこに打ったら良いのか迷う場合には、一度音読されることをお勧めします。
音読した際にひと息つく所は、読点を入れても違和感がないはずです。
北斗書房では、お書きになった原稿を読ませていただき、適切な句読点のアドバイスを行うことができます。
是非お気軽にご相談ください。