ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

2016年3月

「見出し」の役割

前々回前回のブログで、文章構成には「起承転結」「序破急」があることをご説明しました。
これらは、文章中の物語の流れを表すものです。

これらの文章は、同じテーマを持つものが集まって「節」というグループを構成し、その「節」がいくつか集まって「章」になります。
章をいくつかまとめたものは「部」と呼びます。
これらは総称して「見出し」と呼ばれます。
見出しは、テーマや内容毎に区切って、本全体の構成を分かりやすくする役割があります。

具体的にどのように見出し構成を考えるか、実際に自分史で用いられた構成を例にします。

この自分史では、「歌集」と「自分史」を両方掲載したいというリクエストがありました。
前半に長年書き溜めた「歌集」を、後半は自分史という2部立てになります。

まず歌集は、季節を詠んだ作品が多いことから、四季に分けて掲載しました。
一方自分史は、時系列順に並べることになりましたが、大きな区切りとして、幼少期・青年期・戦後期・高度成長期・近況に分けました。 

先程の「部、章、節」にあてはめると、次のようになります。

 

第1部 歌集

  第1章 春(発表順に並べる)

  第2章 夏(発表順に並べる)

  第3章 秋(発表順に並べる)

  第4章 冬(発表順に並べる)

 

第2部 自分史

  第1章 幼少期

    第1節 出生

    第2節 両親のこと

    第3節 学校生活のこと

  第2章 青年期

    第1節 徴兵検査合格

    第2節 満州に赴任

    第3節 戦地での生活

    第4節 終戦、引き揚げのこと

  第3章 戦後期(引き揚げ後就職~独立~結婚まで)

    第1節 戦後の生活

    第2節 仕事のこと

    第3節 結婚のこと

  第4章 高度成長期

    第1節 長子誕生

    第2節 大阪万博の思い出

    第3節 子供の結婚、孫の誕生

    第4節 現役引退

  第5章 近況

    第1節 最近の生活

    第2節 趣味のこと

    第3節 孫のことなど

 

この様にテーマごとに区切ることで、その節や章で読み手に何を伝えたいのか、スッキリと整理することができます。

あくまでひとつの例ですが、自分史を時系列に並べる際のご参考になれば幸いです。

文章を「3」でまとめる―3部構成―

前回、起承転結で文章をまとめようとすると、意外と難しいというお話をしました。

→ブログ「文章の構成と起承転結」はこちら

そこで今回おすすめするのは「3」でまとめる方法です。

あくまで感覚的ですが、3という数字にはおさまりが良い印象があります。
「三度目の正直」や「三人寄れば文殊の知恵」「日本三景」など、ことわざや慣用句に「3」にまつわるものは多くあるのも、そんなおさまりの良さが関係しているのでしょうか。
文章構成も例外ではなく、三つに分けると読み進めやすくなります。
3部構成の例をいくつかご紹介します。

 

序破急

三部構成の有名なものとして「序破急」があります。
本来、雅楽や能楽などの古典芸能用いられるものですが、物事の展開に変化をつける場合の表現として、広く用いられる言葉となりました。
文章構成の意味で使う場合は、次のようにイメージすると良いでしょう。

「序」…導入部(最初のゆっくりとした展開)

「破」…展開部(中盤の変化を表します)

「急」…結末部(クライマックス、速い動きで終結します)

この文章構成は「急」というクライマックスで文章が終わることになります。
結末の意外性が活きる短編小説やミステリー小説には向いていますが、逆に説明や解説の必要なエッセイなどには不向きな構成です。

 

序論・本論・結論

もうひとつの三部構成としては「序論、本論、結論」があります。 

「序論「…最初の「つかみ」として、テーマや目的、事実を提示する。

「本論」…エピソードや主張など書きたいことを展開する。

「結論」…結論ないし結末を述べる(オチをつける)。

序論でつかみ、本論で展開し、結論でまとめるこの形式は、エッセイや随筆などで良く用いられます。
問題提起から結論まで順に進行するので、文章としても分かりやすい構成になります。
また、結論を先に述べる論文や論説文などの場合は、まず結論を述べ、本論でその根拠を展開し、結論を最後にもう一度述べる形式になります。 

執筆する原稿の内容によって、相応しい文章の構成は異なります。
お考えの作品に応じた、最適な文章構成をご提案します。
是非お気軽にご相談ください。

関連リンク

・文章の構成と起承転結

・段落の役割

・「見出し」の役割