ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

2015年9月

自費出版本が書店に並ぶには?

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前回のブログ「本を売るということ~書籍流通の仕組み~」では、書籍流通の仕組みやその背景をご説明しました。

実は、本が書店に並ぶにはもうひとつ壁があります。
それは、出版業界特有の「配本」という仕組みがあります。

現在、日本国内にある書店は2万軒とも1万5千軒ともいわれています。
ただし、これらの書店に等しく新刊本が配本される訳ではありません。
取次の配本は「ランク配本」と呼ばれる方式で各書店に届けられます。

この方式は、書店を「規模」「立地」「商圏」など様々条件によりランク分けを行い、このランクに応じて新刊書籍を配本するという仕組みです。
これは「より売れる(と思われる)書店に」「より売れる(と思われる)本を」という考えに基づくものです。
例えばベストセラーの本が大手の大型書店には山積みされているのに、近所の書店にはないという現象は、この配本方式が原因の場合も考えられます。

逆にいえば、初版部数が少ない、または取次が「売れない」と判断した本はそもそもの配本数が少なくなり、その結果書店に並ぶ可能性も低くなってしまうのです。

もちろん、新刊書籍は書店側から注文を出すことはできますが、原則はこの配本方式により書籍が送られる仕組みになっているのです。

自費出版本を取次が受け取ったとしても、取次や書店から「売れない」と判断されてしまうと、せっかくの作品が書店に並ばず、そのまま返本されてしまうという、最悪のシナリオも考えられるということです。

もちろん世の中には、自費出版といういわば「マイナーな本」を世に問うために真剣に努力を続けておられる良心的な出版社があることも事実です。
しかしその一方、市場で自費出版本に光が当たることが極めて稀であることも、残念ながら事実です。
「あなたの本が全国の書店に…」という安易な謳い文句には、慎重に見極めをされることをお勧めします。

自費出版をお考えの方にとっては夢のないお話ばかりになってしまいました。
ただしこれは、既存の流通の仕組みでいかに本を書店に並べるかと考えた場合です。
次回からは、この現実を踏まえて自費出版本を世に問う方法を考えたいと思います。

本を売るということ~書籍流通の仕組み~

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自費出版には色々な呼称があります。
「自費出版」「個人出版」「協力出版」「共同出版」など、呼び方とそのサービス内容は業者によってまちまちで、このことが自費出版を考える方に混乱を招いているのも事実です。
これらの呼び方の違いは、本がどのように売れるのかという書籍流通の仕組みと深く関係しています。
ですので、まず書籍流通の仕組みをご説明したいと思います。

取次会社と委託販売
書店での本の販売は、一般的に取次会社を通して行われます。
取次会社とは、いわゆる問屋に当たるもので「出版社から書籍を仕入れる」「書店に配本する」「代金を回収して出版社に支払う」などの役割を受け持ちます。
全国にある出版社と書店の中を取り持つため「取次」と呼ばれます。
この出版社~取次会社~書店という本の流れは「正規ルート」とも呼ばれ、書店に並ぶ出版物の70%以上が、この流れで読者のもとに届きます。

委託販売制度
取次から書店へは「卸売」ではなく「配本」として本が届けられます。
これは、書店が本を買い取るのではなく、委託販売として書店に預けるためです。
委託販売とは、出版社や取次から、書店が預かって販売をする代わりに、ある程度期間が経っても売れなかった商品を返品できる、という仕組みのことです。
本の流通の特殊なところは、ほとんどの商品がこの委託販売という形での仕入れになる点です。
この仕組みにより、どこの書店さんに行っても常に新刊本を並べることができます。

返本制度と返本率
その一方で、書店が売れないと判断した本は、取次を経由して出版社に返本されます。
現状の返本率はおよそ40%といわれています。
ベストセラー本もあれば、逆に全く売れない本もありますので、この返本率はあくまで平均値です。
現在、年間約80,000点の書籍が出版されていますから、単純計算で実に32,000点の本が市場から退場していることになります。
書店側の視点では、毎日200点以上の新刊本があらたに配本される訳ですから、限られた販売スペースにはより売れそうな本を陳列したいのは、当然の流れです。

もちろん例外もありますが、自費出版本を書店で売るということには、このような書籍流通の仕組みや背景があることをご理解いただければと思います。

写真集をつくってみませんか?

images-382006_1280最近では携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、写真を撮ることが随分と手軽になりました。
人生のイベントや旅の思い出、趣味の作品記録など、手軽に撮影し画像として残すことができます。
SNSやメール転送で家族や友人と写真をシェアすることも簡単にできます。

カメラがデジタル化したことで、より気軽に写真を撮ることができるようになりました。
このブログをご覧になる皆さんのPCやモバイルにも、きっとたくさんの写真が保存されていることでしょう。

せっかく撮った写真ですから、それを「写真集」というカタチにされてはいかがでしょうか。
もちろん、SNSやブログでまとめることもできますが、紙の本には「カタチに残り手に取ることができる」という大きな強みがあります。
アルバムとは異なり何冊でも複製できるので、親しい人に差し上げるのも容易です。

記念の品として、また思い出の品としてこんな使い方ができます。

・家族の記録、お子さんの成長記録(家族や親戚に配る)

・旅の記録を写真集(友人に配る)

・趣味の作品集(趣味の仲間に配る、自身のプレゼン資料として)

などなど…

写真集は、A4判など大きな判型でつくることが一般的ですが、北斗書房では18センチ四方の正方形の本をご提案しています。
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正方形にしますと、縦横どちらの図版をレイアウトしても、それほど余白が目立たなくなります。
少し紙にムダが生じますが、収まりの良い本に仕上げることができます。

パソコンやモバイルにたくさん写真のある方、一度写真集をお考えになってはいかがでしょうか。
もちろん、プリント(紙焼き)の写真からでも大丈夫です。
こちらで印刷に使えるようデータ化しますので、お気軽にご相談ください。

その写真、大丈夫ですか?―肖像権のお話―

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肖像権とは、私生活上の容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を勝手に公表されたり利用されることがないように主張できる権利です。
誰しも、勝手に写真を取られたりするのは不快であり、嫌悪感を覚えるものです。
このような精神的な苦痛を受けないように保護を受けることのできる権利を肖像権と呼びます。
この肖像権には二つの側面があります。

プライバシー権(人格権)
自己の容姿を無断で撮影されたり、その写真を勝手に公表されたりしないよう主張できる権利です。
プライバシー権は歴史も古く、判例上も古くから認められているものです。
プライバシー権は、その人が持つ人格部分に関わるので、人格権に含まれます。

パブリシティ権(財産権)
テレビや雑誌等で芸能人やスポーツ選手など著名人の肖像や氏名は、商品CMなどでよく目にします。
このような著名人のもつ人気や名声から生じる経済的な利益・価値に関わる権利は「パブリシティ権」と呼ばれ、これは財産権に則した権利です。

自費出版づくりで「うっかり」ありがちな、次のような行為は、肖像権の侵害になります。
内容によっては著作権の侵害にもなりますので、写真を選ぶ際の参考になさってください。

・インターネット上の画像を無断でそのまま、または加工して掲載した。

・自分で撮った友人の写真を無断掲載した。

・インターネットからダウンロードした有名人の写真画像を無断掲載した。

・自分で撮った著名人の写真を無断掲載した。

たとえ自分で撮った写真でも、著名人の場合はパブリシティ権侵害になります。
友人の場合はプライバシー権の侵害になります。
そのため、掲載する前に許可をもらう必要があります。

以下のサイトには、より詳しく著作権や肖像権について記されています。
興味のある方はいちどご覧ください。

公益社団法人著作権情報センター
http://www.cric.or.jp/

文化庁
http://www.bunka.go.jp/

特定非営利活動法人肖像パブリシティ権擁護監視機構
http://www.japrpo.or.jp/