自費出版には色々な呼称があります。
「自費出版」「個人出版」「協力出版」「共同出版」など、呼び方とそのサービス内容は業者によってまちまちで、このことが自費出版を考える方に混乱を招いているのも事実です。
これらの呼び方の違いは、本がどのように売れるのかという書籍流通の仕組みと深く関係しています。
ですので、まず書籍流通の仕組みをご説明したいと思います。
取次会社と委託販売
書店での本の販売は、一般的に取次会社を通して行われます。
取次会社とは、いわゆる問屋に当たるもので「出版社から書籍を仕入れる」「書店に配本する」「代金を回収して出版社に支払う」などの役割を受け持ちます。
全国にある出版社と書店の中を取り持つため「取次」と呼ばれます。
この出版社~取次会社~書店という本の流れは「正規ルート」とも呼ばれ、書店に並ぶ出版物の70%以上が、この流れで読者のもとに届きます。
委託販売制度
取次から書店へは「卸売」ではなく「配本」として本が届けられます。
これは、書店が本を買い取るのではなく、委託販売として書店に預けるためです。
委託販売とは、出版社や取次から、書店が預かって販売をする代わりに、ある程度期間が経っても売れなかった商品を返品できる、という仕組みのことです。
本の流通の特殊なところは、ほとんどの商品がこの委託販売という形での仕入れになる点です。
この仕組みにより、どこの書店さんに行っても常に新刊本を並べることができます。
返本制度と返本率
その一方で、書店が売れないと判断した本は、取次を経由して出版社に返本されます。
現状の返本率はおよそ40%といわれています。
ベストセラー本もあれば、逆に全く売れない本もありますので、この返本率はあくまで平均値です。
現在、年間約80,000点の書籍が出版されていますから、単純計算で実に32,000点の本が市場から退場していることになります。
書店側の視点では、毎日200点以上の新刊本があらたに配本される訳ですから、限られた販売スペースにはより売れそうな本を陳列したいのは、当然の流れです。
もちろん例外もありますが、自費出版本を書店で売るということには、このような書籍流通の仕組みや背景があることをご理解いただければと思います。