自分史や随筆、エッセイのような自費出版の執筆するにあたり、他者が作った文章や画像を引用・転載する場合には、著作権に十分注意する必要があります。
著作物とは何かという定義は、当ブログでも「著作権の定義を考える」「自費出版と著作権2018」でご紹介しました。
逆に、どのような場合が著作権侵害にあたらないのでしょうか。
「引用とは ―著作権法で定義する4つの条件―」では、著作物を利用できる場合として、私的利用と引用についてご説明しました。
また、私的利用と引用以外には「対象が著作物としての条件を満たしていない場合」があります。
具体的には、以下のような場合が考えられます。
1.歴史的事実・統計情報などの客観的事実
歴史的な事実や統計情報は、誰かの創作物ではないので、著作物とは認められません。
著作権の条件である「思想または感情」を満たしておらず、著作物ではないからです。
ただし、歴史的事実を題材にした小説や絵画、統計資料の表現に意匠が施されている場合は著者物にあたる場合がありますので、ご注意ください。
2.一般的な表現・題名・ごく短い文章
「いつも大変お世話になっております」「毎度有り難うございます」などの、ビジネス文書で一般的にみられるような表現や、時候の挨拶は、著作権の条件である「創作性」を満たしておらず、著作物にはあたりません。
ただし、キャッチフレーズやタイトルは、一般的に著作物と認めらない場合が多いのですが、これには明確な基準はなく、判例もまちまちですので、著作権者に確認されることをおすすめします。
3.アイデア・コンセプト
小説や映画、登場人物のアイデアそのものは、著作物として保護されていません。
著作権で保護されるのは「表現」であり、その背景にあるアイデアは著作権法では保護されないからです。
ただし、具体的にキャラクターを表現したイラストなどは、著作物として保護されることになります。
これらは一般的に著作物にあたらないとされていますが、状況や著作者の判断によりトラブルに発展する恐れが全くないとは言えません。
やはり、著作権で問題を起こさないためには、まず使用する前に著作者に確認することに尽きます。
基本的なことですが、事前に確認を取ることでトラブルを回避できることは多いです。
北斗書房でも著作権に関するご相談を受け付けております。
お気軽にご相談ください。
これまでに弊社より刊行した作品や紙見本などをご覧いただきながら「ゆっくり」「じっくり」ご相談いただけます。
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自費出版に関する疑問ならどんなことでも結構です。
お気軽にお問い合わせください。
他者の作成した動画を無断でインターネット上にアップする(公衆送信権の侵害)、他者の著書を無断で複製して販売する「複製権の侵害」のような場合は、シンプルで分かりやすい著作権侵害の例です。
しかし、著作権に関する裁判は長期化する場合も多くあります。
著作権侵害の判断には難しいところがあり、気付かないうちに著作権を侵害している場合もあります。
次のような場合も著作権侵害にあたります。
その理由もあわせてご説明しますので、ご参考になさってください。
ケース1 イラストのなぞって(トレス)描き直す または一部を変更して利用する |
→×「複製権」「同一性保持権」侵害の恐れがあります
アイデアが作品として表現されたものが著作物ですから、仮にそのイラストをなぞって描き直したとしても「複製権」の侵害を疑われる恐れがあります。
また、一部を変更して利用した場合は、これに加えて「同一性保持権」の侵害を疑われる恐れがあります。
ケース2 他の著作物から引用したい範囲が広く、 著者自身の文章より多くなってしまった |
→×「引用」の条件を満たしていません
引用の条件のひとつとして「量・質共に自分のオリジナルな文章が主であり、引用部分が従であること」があります。
極端な例ですが、引用が9割で本文が1割のようなバランスですと、引用部分が従とは認められません。
この場合は「引用」ではなく「転載」となり、掲載するには著作権者の了承を得る必要があります。
ケース3 引用した文章を趣旨に合うよう加筆、修正した |
→×「同一性保持権」の侵害が疑われる恐れがあります。
著作権には「同一性保持権」が認められています。
加筆や修正など、著作権者の許可なくする著作物を改変することは、著作権の侵害になります。
次回は著作権侵害にあたらない場合をご紹介します。
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著作権の歴史
著作権が世界的に広まったのは1886年に締結された、通称「ベルヌ条約」が始まりとされています。
このベルヌ条約によって現在の著作権の方向性が定められました。
日本は1899年4月18日に加入しており、同年に旧著作権法が制定されました。
1970年に現行著作権法へ全面改正されましたが、旧著作権法から数えると日本での著作権には140年近くの歴史があることになります。
日本の著作権
日本における著作権は、著作権法により「文芸・学術・美術・音楽の範囲で、思想や感情を創作した著作物」を保護されています。
思想や表現する意図で表現された制作物には、すべて著作権が発生します。
日本の著作権は、その取得のために申請や手続きは必要ありません。
著作物がつくられた時点で、その著作権が成立します。
ベルヌ条約にも「著作者の権利としての著作人格権および著作権の享有には、いかなる方式も履行も要しない」と明示されています。
ちなみにアメリカは1989年にベルヌ条約に加入しましたが、それ以前は著作権取得のために登録の手続きが必要でした。
「方式主義」と呼ばれ、登録された著作物には「コピーライト」マークの記載が必要でした。
日本の出版物でもこのコピーライトを記載した本が見られますが、ベルヌ条約に加入している日本では本来不必要なものです。
著作権の種類
著作権には、大きく分けて著作財産権と著作人格権との2つがあります。
1.著作財産権
著作物を用いて利益を得る権利と言い換えることができます。
上記のような行為や、権利を他者に許可することで報酬を得る権利です。
著作財産権の保護期間は、原則として著作物を作った時点から起算し、著作者の生存している期間と、著作者の死後50年間とされています。
出版や映画のように商業的な要素も大きく、案件ごとの契約条件によって権利の範囲などが異なるため、侵害の有無を判断することが難しいのが実情です。
著作財産権の侵害を防ぐためには、著者を含む権利者に対してその都度確認をとることが、最も基本的でまた確実な方法です。
2.著作人格権
著者の人格的な利益を保護する権利です。
著作財産権と違って子孫や他人に譲渡できません。
保護期間も、著作財産権とは違い、「著作者の生存している期間」に限定されます。
著者自身の名誉や功績を尊重する大事な権利です。
著作人格権の主なものには「公表権(公表する時期や方法を自由に決定できる権利)」「氏名表示権(著者名表示を選択できる権利)」「同一性保持権(意図しない作品の改変を防ぐ権利)」があります。
次回は、著作権侵害に当たる様々なケースをご紹介します。
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「自費出版と著作権2018」で著作権法で定められた著作物をご紹介しましたが、そもそも何を持って著作物と定義するのか、著作物とそうでないものの違いは何なのか、もう少し詳しくご説明します。
著作権法第2条1項1号には、著作物の定義が次のように記されています。
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう |
ここで要点になるのは「創作性」と「表現性」です。
この二つの条件を満たしたものが著作物と定義されます。
著作権は、プロが作成したものだけを保護するものではありません。
誰が作ったかは問題ではなく、著作物の定義に該当するかしないかという観点で判断されます。
創作性には、作った人の個性が表れていることが条件になります。
受賞の有無や世間的な認知は関係ありません。
お子さんが作ったやアマチュアの作品であっても、作品に個性が認められれば著作物となります。
「創作」というと、何か芸術的なものを連想しがちです。
また研究論文などのイメージから、学術的なものだけと捉えてしまいがちです。
しかし、実際にはこれに限らず、例えば誰かに宛てた個人的な手紙ようなものでも、そこに書いた人の個性が表れていれば創作性は認められます。
著作権で保護されるのは「表現」であり、その背景にあるアイデアは著作権法では保護されません。
例えば、ある料理人が秘伝のレシピを知っていたとしても、それ自体はアイデアですから、その料理人の頭の中にあるだけでは著作権法の対象外です。
仮に、別の人がそのレシピで料理を作っても著作権侵害は問われません。
しかし、この料理人がレシピを書籍にまとめたとしたら、これは著作物として扱われます。
この書籍を無断で転載したり私的目的以外で複製すると、著作権侵害になります。
なお、アイデアは特許法や不正競争防止法等で保護されます。
当ブログでは、アイデアの無断盗用や不正利用を推奨しているわけではありません、あくまで著作権保護の範囲を説明するための一例として示しました。
この点どうかご承知おきください。
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少し前に、著作権侵害による冊子販売中止のニュースがありました。
ある量販店が運営する出版社から制作・出版された、トリックアートの冊子に無断掲載されたトリックアート作品があったというものです。
作品の著者からの抗議を受け、この冊子は販売中止になりました。
錯視自体は現象ですので、著作権はありません。
しかし、錯視を利用して作られたトリックアート作品には著作権があります。
出典を明記せず冊子に掲載すると、著作権の侵害になります。
このように、著作物の適用される範囲は考えている以上に広いものです。
著作権法で定められている著作物には、次のようなものがあります。
また、法人等で職務上作成する著作物は、特に取り決めがない限り、著作権はその法人にあります。
特に、6番目の地図や図面、図表などは、つい安易に転載してしまいがちです。
いずれの場合も、その制作者に著作権があります。
自費出版でも同様で、これらを掲載する場合は著作権者の了解が必要な場合があります。
著作権に限らず、昨今はコンプライアンス(法令遵守)に対する意識が高まっています。
もちろん、自費出版も例外ではありません。
自負出版の著作権で疑問やご質問がありましたら、お気軽にお問合わせください。
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以前当ブログでISBNコードの概略と表記ルールのお話をさせていただきました。
ISBNは「International Standard Book Number(国際標準図書番号)」の略で、それぞれの本を認識するために記載される世界共通のコードです。
日本では1981年からISBNを運営する国際団体に加盟し、出版物へのISBNの記載を推進しています。
その後2007年に表示方法が改められ、現在では13桁の数字でその本固有の番号を示しています。このことによって、どこの国のどの出版社で制作された、何というタイトルの本なのか分かる仕組みになっています。
つまりこの番号さえ分かれば本の特定が可能となり、書店などでの取り寄せやインターネットでの検索なども容易になります。
ISBNコードは、上の写真のように奥付の欄外に入れるのが一般的です(写真は当社出版「愛しの太秦」)。
ISBNの歴史
1965年イギリスのトリニティ・カレッジ(ダブリン大学)のゴードン・フォスター(英語版)により開発された「SBN (Standard Book Number)」と呼ばれる書籍特定コードが原型です。
その後、国際規格ISBNのアルゴリズムが考案され、1970年に国際標準化機構 (ISO) でISO 2108として規格化されました。
日本では、1981年にISBNに関する国際的な枠組みに加盟し、1988年にJIS X 0305として日本工業規格に定められました。
日本国内のISBNコードは、日本図書コード管理センターが管理しています。
ISSNコード:雑誌を識別するためのコード
ISBNによく似たものとしては「ISSN(Information and documentation – International standard serial number)」があります。
これは逐次刊行物(雑誌)のシリーズごとに付与される国際標準逐次刊行物番号で、ISO 3297:1998として規格化されており、日本でも日本工業規格JIS X 0306:1999に定められています。
ISSNは 定期刊行物や新聞、年間出版物、学会の雑誌といった逐次刊行物を識別するために用いられます。
書籍JANコード:本の販売・流通のためのコード
書店で販売されている本は、裏表紙にバーコードが記されています。
店頭で実際にご覧になったことがあると思います。
これは、JANコードと呼ばれる商品識別コードで、POSシステムや在庫管理、受発注システムなどで価格や商品名を検索するために用いられています。
JANコードは、ISBNにその本のカテゴリーを表すCコードと本体価格(税別)で構成され、本の定められた位置に表示されます。
商業出版の場合は、売上管理などに使用するためこのJANコードは必須となります。
市場に流通しない自費出版でも、例えば書店に委託販売をお考えの際には、JANコードを付けておいた方が書店の販売管理がしやすくなるため、委託を受け付けてもらいやすくなります。
ISBNコードとは異なり、JANコードは裏表紙の所定の位置に入れることが定められています(写真は当社出版「愛しの太秦」)。
ISBNコードを取得するメリット
北斗書房では、自費出版であってもISBNコードを付けることをお奨めしています。
それは、ISBNコードには「本の戸籍」という意味もあるからです。
ISBNコードを付けることにより、その本は正式に日本で発行されたものとして登録され、国会図書館に保存されます。
言い換えれば、自分の作品がその本が日本国内で発行された本であることを公的に証明されることになるのです。
このことは、その本にとって大きな意味を持つと私共は考えています。
ISBNコードは、書店流通をしない自費出版や、ごく親しい方に配る30冊だけの私家版であっても取得できます。
北斗書房では、自社で制作した自費出版作品には、無償でこの「ISBNコード」をお付けしております。
どうぞお気軽にご相談ください。
予約制ですので「ゆっくり」「じっくり」ご相談いただけます。
まずは自費出版に対する疑問、ご希望をお聞かせください。
原稿の作り方から冊子の装丁まで、丁寧にサポートします。
自分史、エッセイ集、画集、句歌集など、おつくりになりたい内容に応じて、適切なご提案をさせていただきます。
ご相談、お見積は無料です。どうぞお気軽にご相談ください。
日時:
① 9月1日(金)/画集・写真集 終了しました
② 9月9日(土)/句歌集・エッセイ ※本日開催!
③ 9月20日(水)/画集・写真集
④ 9月30日(土)/句歌集・エッセイ
お問い合わせフォーム、またはTEL・FAXにてお申し込みください。
これまでに何回か著作権と引用についての記事をアップしてまいりました。
おかげさまで、弊社にて開催しております自費出版相談会でも、引用や著作権についてご相談いただく機会も増えたように思います。
先日、自分史を執筆中のあるお客様から「ある歌の一節を掲載したいが、大丈夫だろうか」というご相談をいただきました。
自分史やエッセイを書く際に、著者自身の思い出の歌の歌詞を掲載することは、決して少なくないでしょう。
結論から申しますと「引用であれば問題なし、ただし全文掲載の場合は著作権者の許諾が必要」となります。
著作権法32条では、引用を次のように定めています。
「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」
また以前のブログ(引用とは ― 著作権法で定義する4つの条件 ―)で、引用の定義として次の4点を挙げました。
今回のケースは、定義1~3は満たしていましたが、出典の記載(定義4)がなかったため、原稿中または文末に、曲名と作詞者名を掲載されることをご提案しました。
なお、インターネット上では、歌詞の一部を改変する、または一部伏せ字にすることで著作権侵害は避けられると解説しているサイトもありますが、この方法は「同一性保持権(タイトルや内容を勝手に変更してはいけない)」という権利の侵害にあたりますので、これはあまりお勧めできません。
他者の権利に配慮するということは、自分自身の権利を大切にすることにもつながります。
定められたルールを守って、胸を張って示すことができる作品づくりを目指しましょう。
北斗書房では、著作権トラブルを避けるための方法もご提案いたします。
何なりとお気軽にご相談ください。
予約制ですので「ゆっくり」「じっくり」ご相談いただけます。
まずは自費出版に対する疑問、ご希望をお聞かせください。
原稿の作り方から冊子の装丁まで、丁寧にサポートします。
自分史、エッセイ集、画集、句歌集など、おつくりになりたい内容に応じて、適切なご提案をさせていただきます。
ご相談、お見積は無料です。どうぞお気軽にご相談ください。
日時:
① 8月4日(金)/画集・写真集
② 8月18日(金)/句歌集・エッセイ
③ 8月19日(土)/画集・写真集
④ 8月26日(土)/句歌集・エッセイ
※時間はいずれも 9:00~18:00(予約制)
相談会は予約制となっております。
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2016年12月に東京堂出版から刊行された『地名が語る京都の歴史』(糸井通浩・綱本逸雄編 4,860円)で、弊社より刊行しました『先斗町地名考 ポントの謎を解く』が引用として取り上げられました。
この本は、平安朝以前から近代まで、京都の歴史を地名から説いたもので、古代、平安王朝時代、鎌倉・室町時代時代前期、天下人の時代、近世、幕末から現代の6章立てで12人が執筆されています。
『先斗町地名考』は、その中の第5章「近世文化都市の興隆」で取り上げられています。
以下に、引用部分をご紹介します。
下線部分が『先斗町地名考』の引用箇所です。
(P362「先斗町通」より)
先斗町通は、寛文期の大改修によって造られた。木屋町通の一筋東側で、三条通の一筋南から四条通に至る通りをいう。先斗町は京都の難読地名で有名であり~諸説が示されてきた。杉本重雄は、家々が鴨川に面した先ばかりに建ち並ぶ景勝の地であり、その北端がかつて先(首)が並べられた刑場であったことから、カルタ賭博用語「ポント(先斗)」(「先ばかり」の意味)との洒落で名付けられたと説く(『先斗町地名考』)。
(引用ここまで)
また、巻末の参考文献にも「杉本重雄『先斗町地名考―ポントの謎を解く』北斗書房 二〇一五」と記載されています。
以前のブログ(引用とは ― 著作権法で定義する4つの条件 ―)で、引用の定義として次の4点を挙げました。
1は、その文面から著者の論旨を補強するため引用されており、また2も、引用の文章量が明らかに少なく、どちらも引用の条件を満たしています。
3の引用部分の区別は「杉本重雄は~と説く」とすることで、著者以外の記述箇所が明確に区別されています。
4の出典に関しては「参考文献」に明示され、これも条件を満たしています。
この本は、商業出版として刊行されていますから、引用への配慮は充分にされており、条件を満たしていることは当然なのですが、自費出版で引用を行う際の参考にしていただければ良いかと思います。
いずれにしましても、このような京都の地名研究書に引用として用いられるということは、ある意味元の本の内容が信頼に足ることを、専門家から認められたともいえます。
そのような本を手掛けられたことに、私共も喜びを感じます。
予約制ですので「ゆっくり」・「じっくり」ご相談いただけます。
まずは自費出版に対する疑問、ご希望をお聞かせください。
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ご相談、お見積は無料です。どうぞお気軽にご相談ください。
日時:
2月4日(土) 9:00~18:00 ※終了しました
2月15日(水) 9:00~18:00
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ひと昔前と比べると、自費出版という言葉は随分と世間に浸透したように思います。
その一方で「著作権」「版権」「出版権」などの言葉が様々な解釈で用いられているために、著者の混乱を招いていることも、残念ながら事実です。
今回は、商業出版における「出版権」についてご説明します。
著作権
著作権は、以前の記事(自費出版と著作権)で紹介した通り、著作物を創作した際に著者に発生する権利です。
著作物に関する複製、貸与、放送などの権利は、著者が独占的に持つとしています。
著作権はコピーライトとも呼ばれる「知的財産権」のひとつで、著作物を創作した際に著者に発生する権利です。
一言でいうと「著作物は著者のもの」ということになります。
版権
「版権」という言葉もよく耳にする言葉で「出版権」と混同して捉えられがちです。
しかし、現在の日本では「版権」は正式な法律用語ではありません。
明治32年の著作権法制定により旧版権法にあった「版権」は「著作権」と改められたためです。
印刷会社が「版権」と呼ぶものは、正確にいうと「印刷物を完成させる過程で作成される版下およびデータなどの中間生成物」のことを指し、これは出版権とは別のものです。
出版権
「出版権」は著作権の一部で、複製権と頒布権で構成されています。
言い換えると複製権は本などの複製をつくる権利、頒布権は複製したものを配布または販売する権利です。
著作権者である著者が「出版権」を出版社に許諾することによって、出版社は本を制作し販売できるようになります。
販売権の許諾を行う際には、著者と出版社の間で契約が交わされ、許諾する期間などが定められます。
ただしこれは、商業出版として出版社が制作費を負担する場合のことであって、著者が制作費を負担する自費出版の場合、原則として出版権も著者に帰属します。
例外として、費用を著者と出版社で分担する契約(「共同出版」「協力出版」などと呼ばれます)の場合は、契約内容によりまちまちになります。
出版権は本が完成した後、例えば返本された在庫の扱い方でトラブルになる事例をしばしば耳にします。
販売委託契約を結ぶ際には、特に注意が必要です。
予約制ですので「ゆっくり」・「じっくり」ご相談いただけます。
まずは自費出版に対する疑問、ご希望をお聞かせください。
原稿の作り方から冊子の装丁まで、丁寧にサポートします。
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日時:
1月7日(土)
1月18日(水) 9:00~18:00
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肖像権とは、私生活上の容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を勝手に公表されたり利用されることがないように主張できる権利です。
誰しも、勝手に写真を取られたりするのは不快であり、嫌悪感を覚えるものです。
このような精神的な苦痛を受けないように保護を受けることのできる権利を肖像権と呼びます。
この肖像権には二つの側面があります。
プライバシー権(人格権)
自己の容姿を無断で撮影されたり、その写真を勝手に公表されたりしないよう主張できる権利です。
プライバシー権は歴史も古く、判例上も古くから認められているものです。
プライバシー権は、その人が持つ人格部分に関わるので、人格権に含まれます。
パブリシティ権(財産権)
テレビや雑誌等で芸能人やスポーツ選手など著名人の肖像や氏名は、商品CMなどでよく目にします。
このような著名人のもつ人気や名声から生じる経済的な利益・価値に関わる権利は「パブリシティ権」と呼ばれ、これは財産権に則した権利です。
自費出版づくりで「うっかり」ありがちな、次のような行為は、肖像権の侵害になります。
内容によっては著作権の侵害にもなりますので、写真を選ぶ際の参考になさってください。
・インターネット上の画像を無断でそのまま、または加工して掲載した。
・自分で撮った友人の写真を無断掲載した。
・インターネットからダウンロードした有名人の写真画像を無断掲載した。
・自分で撮った著名人の写真を無断掲載した。
たとえ自分で撮った写真でも、著名人の場合はパブリシティ権侵害になります。
友人の場合はプライバシー権の侵害になります。
そのため、掲載する前に許可をもらう必要があります。
以下のサイトには、より詳しく著作権や肖像権について記されています。
興味のある方はいちどご覧ください。
公益社団法人著作権情報センター
http://www.cric.or.jp/
特定非営利活動法人肖像パブリシティ権擁護監視機構
http://www.japrpo.or.jp/