ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

自費出版本を販売する方法

前々回「本を売るということ~書籍流通の仕組み~」
前回「自費出版本が書店に並ぶには?

ここまで、出版業界の現状とその仕組みの中で自費出版本を販売することの難しさをご説明しました。
ただし、自費出版本を販売する方法は他にもいくつかあります。

1.書店に直接お願いする
出版業界の標準的な流通方法である委託配本ですが、その仕組みや商習慣から、なかなか著者自身が希望する書店には届かないのが現実です。

しかし、もうひとつ書店に置く方法があります。
それは「著者自身が書店に営業に行く」ということです。

例えば、近隣で日頃懇意にしている書店があれば、そこに委託販売を直接お願いしてみます。
これまでも述べましたが、書店では1冊でも多く「売れる本」を置きたいと考えています。
持ち込んだ自費出版本がその書店のお客様のニーズに合っていれば、本を置いてもらえる可能性は高まります。
ましてや、著者自身の熱意が伝わればその可能性はさらに高まります。

規模の大きいチェーン店では本部との兼ね合いがあるので、支店に持ち込んでも難しいかもしれませんが、地場の書店でしたらそのような制約もありません。
通常の流通に乗せるよりも確実に、目の行き届く所で自分の本を書店に置くことができるでしょう。
実際、この方法で書店置きをして売れている本も現実に多数あります。

この方法のポイントは「著者本人が書店に営業すること」です。
本人以外の、例えば出版社の営業マンが書店に出向いても、それは数多ある新刊本の営業と十把ひとからげになってしまいます。
著者の情熱が書店を動かす方法といえるでしょう。

2.アマゾンで販売する
当初はインターネット書店としてスタートしたアマゾンですが、ここ最近では書籍以外の商品も取り扱い、総合的なインターネット通販の最大手といえます。
取扱商品が増えることにより、強力な集客力を持ったアマゾンを活用しない手はありません。

書店流通と比較したアマゾンの強みは、おおまかにふたつあります。

(1)少部数でも対応できる
発行部数が少ないと通常の流通では採算が合わず取り扱ってもらえない場合もあります。書店置きを前提とした自費出版の印刷部数が1,000~3,000部と多いのも、ここに理由があります。
一方、アマゾンの場合は実際に商品棚に陳列するわけではありませんから、大量に印刷する必要はありません。50部や100部程度の少部数でも販売することができます。

(2)世界中に発信できる
自費出版をされた方でしたらどなたでも「自分の作品を世に問いたい」という想いを少なからずお持ちのことでしょう。
書店置きを希望される理由のひとつも、そこにあるのだと思います。
ただし、これまでも述べたように、本が書店に並ぶにはたくさんのハードルがあり、ましてや書店に並ぶ自著を自分の眼で確認できるケースは、流通の仕組み上非常に少ないと言わざるを得ません。

一方、アマゾンの場合ですと、登録された本はインターネットを介して世界中に情報発信することができます。
もちろん、ご自身もPCやスマートフォンで見ることができます。

また書店の場合は一定期間売れなければ「返品」となり陳列棚から退場させられますが、アマゾンの場合そのような期限はありません。
たとえ廃版になっても掲載され続けます。
これは中古品販売を容認するというアマゾンの販売方針によるものです。

もちろん、アマゾン以外にもインターネット書店はありますが、その最大の違いは、アマゾンは取次を介さず、販売者と直接取引しているところにあります。
極端な話ですが、個人でアマゾンに出品することも可能なのです。
ただその場合は、在庫管理やアマゾンからの納品依頼への対応、請求や入金管理を一人で行わなければなりません。

弊社もそうですが、アマゾンに出品者登録をしている出版社ではそのあたりの代行サービスも行っていますので、ご利用いただければと思います。

3.直接販売を行う
読んで字のごとく、著者自らが直接販売する方法です。
一見地味な手法に見えますが、例えば講演会やセミナーを開いて会場で直接販売することは市販本でもよく見受けられます。

買い手の視点考えてみますと、著者の顔が見える安心感から本を手に取りやすくなります。
講演会やセミナーの手法を採らずとも、地域のコミュニティや趣味のサークルから本が売れる場合もありますし、近年でしたらSNSやブログを通じて販売することもできます。
これもまた、自費出版としてのひとつのありかたともいえます。


これまでご説明した方法には、いずれも一長一短あります。
本を流通させる一番重要な目的は「自分の本を求めている読者に届くこと」です。
まずは自費出版の目的を明確にしたうえで配布方法をお考えになることをお勧めします。
必ずしも、販売することが正解とは限りません。

「自分の著書が書店にならぶ」ことは、自費出版の著者にとって確かに大きなロマンかもしれません。
しかし、出来上がった本の身の丈に合わない売り方は、本にとっても著者にとっても不幸せな結果を生むことになりかねません。

北斗書房では、著者様のご要望と本の内容を踏まえて、最適な配本方法をご提案します。
どうぞお気軽にご相談ください。

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