ブログ|京都 下鴨 洛北の出版社「自費出版の北斗書房」

自分史

自分史をつくる意味―自分史づくりで得られる7つのメリット―

自分史には、何より自分の半生を記録としてまとめて、後世に伝えるという役割があります。
しかし、自分史をつくる意義はそれだけに留まりません。
自分史を具体的な形にまとめる過程では、自己の客観的な振り返りを繰り返します。
それは、「自分とは何者か」という自己認識をより明確に持つことになります。
そして、これから先の人生の指針を見つけることにもつながります。
これらは自分史づくりを通して得られる大きなメリットであり、言い換えれば「自分史をつくる意味」ともいえます。

  1. 生きてきた証を残せる
    自分史として記録に残すことで、自分が経験や体験から得た知識や知恵を、子供や子孫、家族、友人知人など、色々な人に伝えることができます。
    本にまとめて国会図書館に納本しますと、日本国がある限りその本は保存されます。
    ひょっとしたら、後世の誰かが歴史研究の資料になるかもしれません。
    自分史は、自分の生きた証を未来に残すことができる記録ツールです。

  2. 自分をよく知ることができる
    自分のことは判っているようで意外に知らないものです。
    自分史づくりのプロセスで、自分の経験や体験を振り返ることは、これまでの経験や体験が今の自分に与えている影響を理解することができます。
    例えば、自分にとって不本意だったと思う出来事でも、今あらためて振り返ると、その経験は結果的に後の人生の糧になっていると気付くことがあります。
    失敗や挫折にもプラスの意味があることが分かれば、リスクを必要以上に恐れる必要がなくなり、人生に前向きに挑戦できるようになります。

  3. 生甲斐が見つかる
    過去の振り返りによって、自分の好きだったことや得意だったこと、個性や強みが見えてきます。
    そこから新しい夢や目標が明確になり、生甲斐を見つけられるかもしれません。
    子供の頃は、好奇心のまま自分が純粋に好きなことをやっていたはずです。
    好きだったこと、得意だったこと、夢は何だったかをあらためて思い出してみましょう。
    そこに自分の本当にやりたいこと、生きがいを見つけるヒントがあるはずです。

  4. 自信、自尊心が高まる
    人は普段は忘れていても、本当に多くのことを経験し体験しています。
    学校生活、勉強、友人関係、恋愛、旅行、遊び、就職、社会人生活、結婚など、ちょっと考えるだけでも色々な出来事があるでしょう。
    過去を振り返ることで、多くのことを経験し実践していることが再確認できれば、「色々あったけど、自分は頑張って来たのだ」と自己肯定できます。
    自分に自信を持ち、自尊心を高めることで「自分の人生の主人公は自分である」ということを改めて実感し、主体性を持って生きられるようになります。

  5. 自分のことを良く知ってもらえる
    近年の社会的な傾向として、会社や組織の活動とは別に、異業種交流会など個人で活動する人が増えてきています。
    個人として活躍するには、その人の信用や信頼を高めるために「個人の存在意義の確立(パーソナルブラシディング)」が重要になります。
    自分を良く知ってもらうには、「自分が何者であるか」を説明しなければなりません。
    自分の過去を振り返る過程で自分の強みや弱みも明確になるでしょう。
    客観的に自分を見てみることで、強みを見つけそのPR方法のヒントになります。
    これは、就職活動に向けた自己分析にも応用できます。

  6. コミュニケーションを深められる
    自分史はコミュニケーションの道具にも活用できます。
    お互いを理解することは、コミュニケーションを良くするための基本です。
    自分史を活用することで、相手がその人の「人物像」を理解しやすくなります。
    ある大手企業では、杜内コミュニケーションの活性化に自分史を活用しているそうです。
    自分史を通じたコミュニケーションは、家庭でも有効です。
    両親や祖父母の半生は意外と知らないものですが、例えば両親や祖父母のプレゼントとして自分史をつくってあげるなどしますと、プレゼントとしての自分史とは別に、つくる過程でコミュニケーションを深めることができます。

  7. 脳を活性化できる
    自分史をつくる際に、色々思い出そうと考えまとめること自体が、脳の活性化にもつながります。
    最近の医学では、認知症の予防には脳のある部分を日々活用することが重要だそうです。
    その意味でも、日記を書くとか自分史をまとめる作業は、脳の働きからみても非常に良いことだそうです。
    脳科学者の茂木健一郎氏によると、何かを思い出そうとするときと、何かアイデアを出そうというときの脳の働きは、非常に近いそうです。
    自分史づくりには多くの時間がかかりますので、長期間にわたり脳を活性化することができて、生涯学習の良いテーマにもなります。

単なる過去の振り返りに終わらない自分史づくり。
ぜひこの機会に取り組んでみられてはいかがでしょうか。

関連リンク

・自分史とは?― 世界にただひとつの記録 ―

・自分史の構成―時間の流れを追う?深く掘り下げる?―

・エッセイ型自分史のススメ 

 

自分史とは?― 世界にただひとつの記録 ―

多々ある自費出版のなかで、最も代表的なのは自分史です。
読んで字のごとく、自分自身のこれまでの半生を振り返り、一冊の本にまとめたものです。

少しだけ「自分史」の歴史を紐解いてみます。

すでに戦前から、「自伝・自叙伝」という言葉はありましたが、当時は偉人や有名人の著作がほとんどで、一般的な人々が自分の半生を記したような本はごくわずかでした。
自伝、伝記、自叙伝などに「自分史」というジャンルが仲間入りしたのは、1975(昭和50)年のことです。
歴史家である色川大吉さんによる『ある昭和史―自分史の試み』という本のなかで、初めて「自分史」という言葉が使われたといわれています。
「自分史」という言葉ができたことにより、自己表現として本を書くことが一般にも普及し、いわゆる自費出版ブームのきっかけともなりました。

その一方で、「自分史は有名人や名士が記すもの」というイメージもまだまだ強く「自分にはわざわざ自分史としてまとめるようなことはない」とか、「文章を書くのは苦手だ」などの理由で、執筆に踏み出せない方も多いのかもしれません。

自分史は決して難しいものでも、また偉人達だけのものでもありません。
一人ひとりの人生は違ったものですし、その人生は他に変えることのできない、世界にただひとつだけの記録であるといえます。
自分史を通じて自己の半生を振り返り、自分自身の思いもかけない側面に光を当てることで、今まで気づかなかった新しい自分に気づかされることがあります。
そこから、これからの人生に向けた新たな指針を手に入れることができるでしょう。
そういう意味では、どなたでも、少なくとも人生に一回は「自分史」という本をつくることが出来るともいえます。

一般的には、現役を退かれたご年配の方がお作りになるイメージの強い自分史ですが、最近では、経営者や企業のリーダーが、人生観や仕事論を後進に伝えるために執筆されるケースが増えています。
また、就職活動中の方が就職活動のための自己分析ツールとして自分史づくりに取り組まれる場合もあります。
自分を振り返ることに、年齢は関係ないのです。

北斗書房でお作りした自分史にも、いろいろなバラエティに富んだ作品がありました。
このブログでも、そんな実例をご紹介しながら、色々な自分史をご案内しようと思います。

懐かしい思い出の場所に訪れたり、懐かしい知人に再会したり。
自分史をつくる過程では、そんな思いもかけない楽しみを得ることができます。

過去を振り返り、現在を見つめ、そして未来を照らす、私そのものの歴史。
そんな自分史づくりに、少しでも多くの方に取り組んでいただければ幸いです。